寝すぎると金縛りになって悪夢をみることになる理屈

今日はよく寝た。週末は限りなく寝る。昨日は20時半に寝て、起きたのは 9時なので、13時間寝ていたことになる。10時間以上寝ると体が不調になる。最高で16時間寝たことがある。


アインシュタインも1日に10時間以上寝てたらしい。よく頭を使う人間はたくさん寝るらしい。


長時間寝ると、体の節々が痛くなってくる。それでも無視して寝ていると完全に体が動かなくなる。金縛りだ。金縛りを体験した人間は多いだろうが、信じられないことに、一度もなったことがないという人もいる。


俺はよく金縛りになる。寝過ぎるからだ。寝過ぎると、高い確率で金縛りにあう。


金縛りは、なぜ起きるかというと、脳が目覚めているのに体が目覚めてないからだ。科学的な理屈は気になる人は調べてみればいい。ここでは割愛する。

 


金縛りにあうと、よく悪夢を見る。同じ人がいてくれたら嬉しい。


悪夢には、金田一少年の雪夜叉がでてくる。幼い頃、雪夜叉が怖かった。そのときに体験した恐怖が、脳裏にまだ残っていて、俺の中の恐怖のシンボルとして潜在意識の中に深く刻まれ、夢の中で顕在化するんだろう。


こんな夢もよく見る。


野原が広がっていて、中央に俺がポツンといる。そこに黒服の連中がたくさんやってきて、俺を捕まえて、ヘリに担ぎ込いれる。ヘリは俺を乗せてどんどん高く上昇していく。地上はもう見えなくなっていく。 ものすごい高いところまで連れてかれると、突然ドアがバンッ! と開かれ、後ろからドン! と蹴り倒される。


俺は高い上空から「わ、わ、わ」と驚きながら落ちていく。落ちていくスピードや自分の重量感がリアルだ。本当に落ちている感覚がある。ジェットコースターみたいに、お腹のそこに悪寒が走り、ぐーっと突き上げられる感覚だ。「ヒィぃぃッ!!!」「ワァアアッッーーーーーーーーーーーー!!!!」と下品な声をあげながら落ちて行く。俺は死を意識する。夢とはいえ、あくまで俺の脳は、それを現実として捉えていて、その時はちゃんと本当のできごととして捉えている以上、本当と変わらない。俺は本当に死を体験している。

 

「わ、わ、わ、わ」から「ああ!!」 「ああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」「んああぇあああ!! いあああ!!あああ!!」と、すごい声をだす。本気の声を出す。自分でも何て汚い声を出しているんだと、呆れながら落ちている。かっこ悪くて、品がなくて、聞いた人も一緒に恐ろしくなってしまう。この声を聞いたら、全ての女は去っていくだろう。女と一緒に寝て、こんなことになったらもう終わりだと思う。人目を気にしない声というのは本当に恐ろしい。叫びまくって、その声の大きさで目が覚める。不思議だが、目が覚める前に(大体10秒くらい前?)もうすぐ、自分が下品な声を上げてしまい、それを後悔しながら起きるという未来がわかる。夢の終わりのちょっと前に、自分が夢の中にいることに気づくことが多い。


悪夢にうなされるのは遺伝らしい。母親も、寝言ですごい下品な叫び声をあげる。「いやああああああああ!!!!!」「お願いやめてえええええええええええ」「いたいよおおおおおおおお!!「いたいよおおおおおおおおおおお!!」「お母さんいたいよおおおおおおお!!!!」といっている。


俺は「あああああああああああああああああ!!!!」しかいわない。母親は小さい頃、祖母に虐待されていたというから、子供の頃の記憶が蘇っているようだ。


「いたいよおおおおおおおおおお!!!」はやっぱり子供風だ。50代にもなって、小さい頃、母親にいじめられた記憶を想い起こすというのは、長いなぁと思う。もうおばあちゃんは死んだのに、夢の中では生き続けるんだろう。


死んだおばあちゃんも、凄まじい悲鳴をあげていた。

「助けてけんろおおおおおおおおーーー!!」「おとっつああああああああーーーーーん!!! 助けてくんろおおおおおおおーーーーー!!!」「おかっちゃあああん!!! おかっっちゃあああああーーーん!!!!!」と叫ぶ。


祖母も、おとっちゃんとか、おかっつぁんとか、いたいよおお、とか、幼少時代に受けた虐待を夢の中で想い起こすらしい。俺は幼少時代のトラウマは雪夜叉くらいしかない。虐待されていたら同じ悪夢を辿っただろう。


この、悪夢にうなされる病は、姉や父親にはない。俺と母親とババアだけだ。


結婚して、未来の妻にこの声を聞かれることだけが恥ずかしい。本当に困っている。あまりにも醜い声なので、誰にも聞かれたくない。家族にはよく聞かれている。始めは俺の声だと思わなかったらしい。狂人が家に上がり込んで叫んでいると思ったらしい。


さて、ここから俺の持論が続くが、寝ている時、悪夢を見るのはこういうことだと思う。


金縛り状態で、そのまま動けないでいると、ずっとこのまま動けなくなるのではないか、と不安になってくる。身体の自由を奪われる恐怖は相当なものだ。本当にどうやっても体が動かない。怖い怖いと思う。脳が覚めてるといっても、完全に覚めてるわけではない。自分が金縛りなのか現実なのか夢なのか、よくわかってなかったりする。多くの場合、自分は今、金縛りなんだとわかるが、それでも平常時の脳とは覚め具合が異なる。金縛りの最中は、怖い。誰か助けてくれないか。もうずっと動けないかも、自力で解こうかと考える(たまに、自力で解くことに成功することがある。ものすごく体力を使うが)。怖いけどそのままにしておく。勝手に治るし、勝手に治るのが常だが、ここまで動かないと、ずっと動けなくなったまま治らないのではないか、と恐怖してしまう。そうやってひたすら怖いことばかり考えていると、脳が「勘違い」して怖い妄想を始めてしまう。「勘違い」というのは、怖いことばっかり考えていると、怖いことを生産するように命令を下されたと勘違いしてしまうということだ。金縛りの最中の脳は、夢と現実の間を揺蕩っている曖昧な状態だから、狂っている。脳は、記憶の底にある最も恐怖の体験が詰まった、開けてはならない箱を開けてしまう。それが雪夜叉であり、黒服であり、おかっちゃんやおとっちゃんなのだ。


ヘリから突き落とされる夢は、俺が高所恐怖症だからだ。黒服の連中は何を意味するのかよくわからないが、友達は「その黒服はお前にとって社会を意味している」と言っていた。


他にも金縛りの症状として、耳元でコツコツコツと近づいてくる足音だけが聞こえてくることがある。これは俺だけでないようだ。金縛りにあった人の多くがそう証言している。足音の主人の姿形はわからない。音だけが鮮明に聞こえてくる。俺は横たわったまま動けないので確認のしようがない。 その音はどんどんどんどん近くなってくるが、どうしようもできない。俺の身体や頭は横たわったままで、逃げるどころか、指一本動かせない。それでも近づいてくるので本当に怖い。耳元まで近づいてきて、コツコツコツという音が大きくなってくる。その足音の主人は、俺の存在に気づいている! 自分に向かって迫ってきている! はやく、逃げなければ! もう限界!  というところでいつも目が覚める。


ある日、母親が「今日昼間寝てたら、私以外誰もいないはずなのに、階段を上がってくる音が聞こえた」「私以外、誰もいなかったのに、一体誰?」「泥棒かしら」「ねえ、あんた! 昼間出かけてたよね!?」「お姉ちゃん! もしかして帰ってきてた!?」と、一生懸命問いただしていた。俺は中学生にして、金縛りのメカニズムの全貌を知っていたので、バカだな! とゲラゲラ心の中で笑った!