33歳の俺が最近できた19歳の彼女を題材にして愛について本気出して考えてみた 5

 さて、付き合って1ヶ月も経たないのにもう別れの予感が訪れている。
 メンヘラというのは一見容易いように見えるかもしれないが、メンテナンスを怠るとすぐに他の男に目移りしてしまう。全くLINEなんてものがあるせいで毎日連絡を取り合わなければならなくなり、少しそれを怠るだけで簡単に終わってしまう。いい迷惑だ。しかし女の浮気は男の色んな味覚を楽しみたい浮気と違って、心の温床を求めて彷徨う依存だから、タチが悪い。
 最近はほとんどLINEをしていない。彼女は誰かとLINEしていなければ生きていられない人間だから、俺とLINEしていない時は別の誰かとLINEしているのは確かだ。しかし、良い事だと思う。交際とはそういうことだ。別に結婚している訳じゃないんだから好きな男と好きなことをすればいい。交際は結婚前のお試し期間なのだから、たくさんの男と出会って、その中から一番を選べばいい。女からすると、俺のこの態度は優しさとは言わないらしい。「強引にでも連れ去ってよ!」と思うらしい。好きな男の髪型は「ピンクの坊主」と言っていたから、今頃ピンクの坊主とLINEしているのかもしれない。
 出会い系とは結局パイの取り合いだ。確かに出会えるし恋人もセフレも作ることができるが、選択肢が多い分、ひとつひとつの出会いは軽薄だ。スーパーに行けば何でも売ってるのと同じで、食べたいときに食べたいものが食べられる。食べ物も情報も出会いも飽和している。出会い系をやれば10年間恋人ができなかった人間でさえ性器が乾く間もないほど忙しくなることもある(特に女は)。
 人間はやはり自分と同じ匂いのする人間と仲良くなっていく。例えば学校の始業式で仲良くなった奴と最初の1ヶ月ぐらいは絡むようになるけど、だんだんその友達の友達というように新しく出てきたクラスメイトと引き合うようになっていき、夏休みに入る頃には始業式で仲良くなった奴とは口もきかないようになっている。
 出会い系も同じようなもんだ。たとえ出会い系の1人と付き合ったとしても同時並行でいろんな人と交流していって、最終的に自分に一番近い匂いをする人間を選ぶ。俺も俺の周りの友達も、彼女がいるのにそんなことをしている。もちろん女も同じことをしている。これが出会い系の真実だ。我々の欲求と恐れはとどまることを知らない。できるだけ多くの選択肢から十分に検討して答えを出そうとするのが現代人の病だ。
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 事実、俺の彼女もそれをやっていた。「今度、しまるこくんの部屋にあたしが小さい頃から大切にしているぬいぐるみ持ってくね!」と言っておきながら、ペアーズを開いて『慎吾』と書かれている男とやり取りしているのが見えたことがある。慎吾って誰だよ(笑)。香取慎吾か?(笑)
 しかし、これを非難できる俺ではない。俺も同じことをしているからである(笑)。現在、数人の女とやり取りしている(笑)。どっちもどっちだ。結局出会い系はクソしかやらない。こういうところが出会い系のクソなところだ。選択肢が多すぎるとかえってこういう不幸をもたらす。どこまでも疑心暗鬼が漂い、ろくに安心もできず恋愛の旨味が味わえない。どこまでいっても信用されないし信用できない。まぁ、出会い系がクソなのか、俺たちがクソなのか、答えは明らかだが。
 一つ悔しいのは、負けたということだ。そこらの馬の骨に負けた。いつも霊的修行を通じて一段一段と真理の階段を上がっていると思っていたら、どこぞやのぽっと出の馬の骨に彼女を掻っ攫われてしまった。とんだマヌケ野郎である。どうせその男はピンク坊主の慎吾だかなんだか知らないが、俺の昇ってる階段の一段目にすら昇れず、ずっと地べたをハイハイしている赤ん坊に過ぎないだろうが、そんな男に取られてしまったのはとても悲しい。
 いいよ。これだけ努力してきた俺よりもピンクの坊主がいいというなら、そっちにいけよ。俺はこれだけの人間なんだから俺が選ばれないのはおかしい。たった1回でも俺に出会ったなら、俺の天才的な魅力に恍惚して目がハートになって、四六時中俺のこと考えてなきゃおかしい。
 そんな過信が、こうやって待ちの姿勢を構えてしまうのだと思う。案外受け身の人の多くはこういう心理が働いているんじゃないだろうか? 自信がないから受け身なのではなくて、自信があるから受け身なのでは? 自信というより自惚れた自己愛というべきか。
 こういう思いを全て吹き飛ばして、
「そんなの関係ねぇ! そんなの関係ねぇ! 運命なんて関係ねぇ! いいから俺んとこ来いよ! オッパッピー!」と強引に抱き寄せてしまうのが一番いいことはわかっている。

 黒田勘兵衛が「戦いは考え過ぎては勝機を逸する。たとえ草履と下駄を履き違えても直ぐに駆け出すほどの決断が大切だ」と言っていた。天才軍師ですらそんなことを言っていたのだ。運命がどうこう言ってないで慌てて走り出さなければいけないその時では?
 そんなに俺に魅力がないのか? こんなに色々考えたり頑張ってきたのにダメなのか? そしてこの努力がかえって悪い方向に向かっている気がする。精神主義をやめて、物質主義になって一緒に美味いものをたらふく食べて、高いベッドを買ってセックスして、一緒に欲望の海に溺れていく方がいいのか? 俺が1歩1歩進むほど女と離れていくような気がする。同じ場所で同じものを楽しめないカップルは長くないだろう。
 そういえば昔付き合ってた人に「あなたと付き合っていても何もメリットがない」と言われたことがある。あれほど傷ついたことはない。俺以上の天才がどこにいると思ってんだよ! こんな頭がよくて面白いヤツいねーだろ! お前が面白くなくてもいいけど、せめて俺の良さくらいわかれ! 中田敦彦の『PerfectHuman』見て爆笑してたよなお前!? クソったれが……!

 彼女はよく抱きついてきたり手を繋いできたり肩にもたれかかったりしてきたけど、俺はその気持ちの正体を知っている。人間には抱きつきたくなる時があるだけだ。俺に抱きつきたいわけじゃない。男に抱きつきたいんだ。ぬいぐるみに抱きつきたいんだ。俺も彼女じゃなくて女に抱きつきたいのだ。愛や恋ではなく姿勢の問題だ。
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 ここで無様に吠えているのが真実の俺の姿だと思っている。もし、女にこの記事を読ませて『この記事のライターと付き合いたいと思いますか?』というアンケートをとったら、100人に1人も付き合いたいという女はいないだろう。そういうことだ。俺の努力は裏目に出るのだ。俺の真の姿は嫌われるのだ。彼女は100人に1人だったかというとそうではない。あまりにも馬鹿で鈍感だから、俺が別の世界の人間だということに気づかなかっただけだ。だから、幸か不幸か曲がりなりにも一時的にこうして付き合った。
 しかし、俺よりずっと彼女に近い男が存在する。彼女はあまりにもまだ19歳で人間というものが分かってないから、俺よりもその男の方が自分に適しているとか、そういう計算が働かない。計算は働かないが、本能は働く。
 食べたり飲んだり騒いだり歌ったり、EXILEやら倖田來未やらを楽しみとしている人間と俺が相容れるはずがない。やはり人間は同じ属性の者同士が引き合う。確かに頭のいい男やモテる男は、いろんなテクニックや小賢しい真似をして頭の悪い女を引っ掛けて、一時的には親密度を深めることができるけど、いずれメッキは剥がれてしまう。宇宙に浮かぶ星々がものすごいスピードで走り回っているのに決してぶつかり合わないように、すべては神の計算が働いている。あるべきところに収まるのだ。彼女には彼女に適した人間がいる。そして俺にも俺に適した人間がいる。あるべき場所に収まろうとしているだけだ。
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 だけど、楽しかった(まだ終わったわけじゃないけどw)。ここにきて1年が経ち、ずっと1人でひっそり暮らしていたから新鮮だった。
 そして、あろうことか彼女の座る場所を用意するために3万円のソファーまで買ってしまった。なんだかんだいって、ただの貢ぎ野郎だ。結局偉そうなこと言ったってキャバ嬢に貢いでるエロ親父と変わらない。金が無いぶん俺の方がタチが悪い。
 いったって、恋愛なんてものは脳の信号なんだ。セックスだってそう。脳に特殊な電気が走って快楽を感じるだけだ。そんなに有難がって拝むものでもない。真理を追求するものだったら、そんな下卑た快楽に支配されていてはならない。
 俺は何のためにここにいるかもう一度考え直した方がいい。会社を辞めて実家を飛び出して、家賃3万の糞アパートに住んで、ここで何をすべきかもう一度考え直した方がいい。真理を追求している時点で凡人じゃないんだ。歌って踊って飲んで寝ている馬の骨と違うんだ。人間精神の奥底を切り開いて、そこから持ち帰ったもので創作する。シェイクスピアになるんだ。

 おそらく俺より気の長い男がいて、彼女からひっきりなしに送られるLINEと向かい合ったり、毎晩の長電話に耐えられる頑丈な男がいたのだ。いや、耐えるどころかそれを楽しめる男がいる。それが相性だ。運命だ。そんな男に俺は敵わない。
 メンヘラは大きな受け皿を求めている。「あたし、たくさん構ってもらわなきゃ満足できないよ?」「やめるなら今のうちだよ?」と言われたことがある。多くの女にこういう要素があるけども、彼女は何倍もそれが強かった。俺はそういう人間の対応策を知っていたから、もっと彼女を受け入れる気持ちがあれば、あるいはこっちからLINEを送ったり電話をしたり、いくらでもやりようがあることはわかっていたけど、それをしなかった。
 それは俺と彼女の運命にかけてみたかったのか? 何もしないでいたら滅びてしまうのか? 何かしなければダメなのか? そんなにいちいち努力しなければ続かない関係なのか? そう思うと寂しくなってしまって、運命とやらに賭けてみたくなってしまったのか? 俺はいつもこんな勝負に出る。そしていつも負ける。33歳になってもこんな勝負をしている。
「彼女と俺は元々が違う人間だから仕方ない。こういう運命だったんだ」と一番傷つかない決断を自分に言い聞かしているところに彼女からLINEがきたら、嬉しくなって飛び上がってしまう。運命が聞いて呆れる。結局は運命でもなんでもなくて、俺自身が素直になれないから、いつも拗ねて相手に任せっきりで自分で何も行動を起こさないから恋愛が長続きしないのか……? 周りは結婚していって、子供の給食費がどうだのこうだの言っている。俺だけいつまでも時間が止まっている。
 愛や恋について考えるのは、好きだから考えてしまうんだろうけど、それでも自分の意思でコントロールして考えたり考えなかったりするわけじゃない。考え過ぎて胃もたれすることもある。そういうとき、こんな毎日がこれからもずっと続くようだったら死んだ方がマシだと思うこともある。
 このブログの更新が長く途絶えると、自殺したんじゃないかと読者から心配されるメッセージが届くことがあって笑ってしまう。死にたいとか自殺をほのめかした文章はこれまで書いた覚えはなかったのに、俺は自殺しそうな危うさがある人間と思われていることに笑ってしまった。
 少なくとも真理を追求して生きている以上、自殺なんて結末に向かいたくはないが、うちの家系のほとんどは大腸ガンか自殺のどちらかで死んでいる。自分でもその血が流れているのを感じる。
 しかし、こんなにイケメンでスタイルが良くて、運動神経抜群で、脱力して体重シフトする体技を確立させて、ジャブ一つで相手を吹っ飛ばすことができて、頭が良くてギャグセンスが良くて、目の前の事柄から真実を見出すことができて、字も達筆で、絵のセンスも独特で、神韻縹渺なる宇宙の叡智にアクセスすることができる人間が死ぬのは惜しいものだ。しかし、太宰も芥川もあんなに素晴らしい文章をかけているのに自殺してしまった。ゴッホもあんなに素晴らしい絵が描けたのに自殺してしまった。自分で自分の価値は分かっていたはずだろうに。芥川の奥さんは芥川が死んだ時「お父さん、よかったね」といったそうだけど、りんちゃんはどうだろう。俺が死んだら悲しむだろうか? 
 ひとつ言えることは、悩んで辛いから死にたいわけではないということだ。お腹いっぱいだから死にたいのである。もう十分だから死にたいのだ。もうこれ以上考えたり思考の連鎖に付き合うのに飽きた。それでも向こうから勝手に押し寄せてくるから付き合うしかない。そんな思考の洪水に付き合うのが面倒臭いから死にたくなる。絶望も闇もとっくに通り過ぎている。朝が来ないで欲しいだけだ。そのまま眠っていたいだけだ。

 まぁ、好きにすればいいさ。