出会い系で優良物件に出会ったけど、ナマでヤッたのをお母さんにチクられて会えなくなった話

「なんで? もう会えないってどういうこと?」
「あの後、オカンに電話したんです」
「初めての女の子にナマでやろうとしてくる男はやめなさいと言われました。すごい怒られました。友達にも電話したんですけど、そんな人は絶対にやめてって。そもそも私が悪いって言われました。出会い系で初めて会った男をその日に部屋に入れるなんて考えられないって言われました。私も悪かったなって反省してるんです」
「ハハハ、俺はすっかり悪者だな」
「なんでナマでやろうとしたんですか? いつもそうしてるからですよね?」
「あの、いや、なんていうか、男性用ピルみたいなもんがあって、それ飲んでたからいいかなって思って」
「そんなのあるんですか?」
「うん(ナイ)」
「そうだったんですか」
「初めに言うべきだったね。そうすれば誤解されずに済んだね」
「はい。それなら、その時に言って欲しかったです」
「わかってくれてよかった」
「あの後、私すごい不安になって、すぐおかんに電話したんです」
「うん」
「そしたら本当に凄い怒られて……。そんなことさせるために青森から上京させた訳じゃない! 今すぐ帰ってきなさい! って言われて……」
「えっ、帰んの!?」
「…………たぶん」
「マジで!? っていうか、お母さんに色々話し過ぎじゃない……!? ナマでどうとか……」
「怖かったから」
「はぁ……(普通は友達にだけ話すもんだと思うけど)」
「まずはすぐに病院に行きなさい! って言われて」
「うん(まるで悪性ウイルス扱いだな)」
「検査は陰性だったんですけど……」
「よかった」
「しまるこさんに私の気持ちが分かりますか? 仕事を休んで婦人科に予約をいれて性病検査する女の子の気持ちが。何度も病院の周りをぐるぐる回って、やっとの思いで受付に足を運んだ気持ちが」
「いや……、だからなんていうか、誤解させて悪かったよ。男性用ピル飲んでたから平気だと思っててさ。俺はそれでいいやって納得してたけど、松子ちゃんには何も言ってなかったから不安だったよね。松子ちゃんからすると急にナマで突っ込まれた気分だもんね」
「次の女の子にはちゃんと言ってあげてくださいね」
「はあ……(次か)」
「次っていうかさ、俺は松子ちゃんに会えて本当に良かったと思ってるんだ。あの日は本当に楽しくて、また会いたくて、言葉悪いかもしれないけど、誤解……、だったんだから、もう会わないとか嫌だな」
「でも、私の方はもう無理っていうか。身体がゾッとして気持ち悪くなっちゃったっていうか」
「はぁ……(言いやがる)」

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 松子は23歳、大手薬局の新人正社員(クリエイトということにしておこう)、家賃6万円、駐車場代1万円のアパートで1人暮らしをしている女の子だ。就職を期に青森から上京してきた。70万で買った中古車で通勤している。
 松子はチョロそうな子というか、なんでもハイハイ言うことを聞く子で、そして物をよく買う子だった。研修で商品の知識を仕入れる度に何でも欲しくなってしまうようで、月に3万も4万もクリエイトで買い物していた。部屋の中には無数の化粧品やサプリメントで乱雑していた。
 入社式を終えたばかりの新人1年目で毎日勉強に明け暮れていた。なんとクリエイトの新人研修は毎週テストがあるらしく、そのテストに受からないと売り場に立たせてもらえないらしい。さらに試験範囲は厚い本数冊分で、下手な大学の試験より大変そうだった。仕事が終わって帰宅しても、そのテストの為の勉強を強いられていた。部屋内は勉強の資料ばかりで、松子ちゃんの細かな字と蛍光マーカーでギッシリになったノートが数冊に渡っていた。

 会ってみて、この子はおとなしい地味な子だとすぐにわかった。非常にギャグセンスに乏しく、ゆっくり時間をかけて、頭をフル回転させて常識的なことしか言わない。おそらく一番仲のいい友達との間でも、下ネタを口にしたことはないと思われた。
 目が金魚みたいに腫れぼったくて唇は厚く、鼻がだんご鼻で小さかった。峯岸に似ていた。「峯岸に似てるね」と言ったら、やたらとショックを受けていた。峯岸に似てるというのは悪口になるらしい。初めて知った。そんな風に思われるアイドルってなんなんだかと思った。松子ちゃんは決してブスではなかった。f:id:simaruko:20190613005831j:imagef:id:simaruko:20190502221005j:image

 花火の帰り、彼女のアパートに泊まった。普段は朝の9時から22時30分までが仕事で、家に着くのは23時らしい。そして夕食を食べてお風呂に入って洗濯をすると1時になり、1時から3時まで勉強する。3時から寝る前の30分だけYouTubeでホラーゲームの実況動画を見るらしく「青鬼」がお気に入りらしい。YouTubeのホラーゲームはやたらと再生数が多いけど、どうやら正体はこういう女の子達が視るからなんだろう。彼女達は怖い怖いと言いながらもホラーが好きだ。余談だが、これは女特有の性的欲求の現れだと勝手に思っている。そして3時30分から7時30分までが就寝時間。7時30分過ぎにはシャワーを浴びて、朝ご飯とお弁当作りを始めるらしい。

 部屋に上がったはいいが、女の喜ばし方をよく知らない俺は何を思ったか、煮卵を一緒に作ろうと言った。こういう時、軽妙なトークができる一流ホストはどんな行動に出るんだろうか? 少なくとも煮卵ではないことは確かだ。当時俺は煮卵にハマっていて、5分きっかり茹でることによって、半熟で美味しいトロトロの煮玉子になることを知り、それを限られた人間だけが知っていると思い込んでいた。当時は毎晩家で煮卵を5個作っていた。
 黙って2人で煮卵を作った。彼女はおとなしくて口数は少ないけど、無言になると気を使って話題をくれた。おとなしい子特有の人の目を見続けられないところがあったり、笑う時も全力で笑い切ることができなくて、完全に笑い切ったら誰かに怒られるのを怖れているような笑顔だったけど、そういうところも含めて良い子に思えた。
 なんと、松子ちゃんは23歳で1度も付き合ったことがなかった。さっきも言ったが決してブスじゃない。だから松子ちゃんはこうして部屋で男と煮卵を作るとき、どうしたらいいかわからないようだった。

(男の人と花火に行ってみたいな。手を繋いでお散歩してみたいな。部屋で一緒にお茶を飲んでホラーゲームやってみたいな。料理してみたいな)

 そんなことを夢見ている様子はあったが、彼女は無表情で煮卵を菜箸で突いているだけだった。彼女は今、こうして俺と煮卵を作るのを楽しんでるのだろうか?
 グツグツと煮える卵を見つめながら彼女は言った。
「私、本当に気が弱くてこんな性格だから1度も彼氏できたことなかったんですよ」
「うん」
「仕事でもミスばっかりなんです。たとえいくらテストでいい点数とれても、店が混雑してるとき何を優先したらいいかわからなくて、パートのおばさんにため息つかれてるんです。正社員はパートのおばさん達をまとめなきゃいけないのに、私、いつもおばさん達に頭が上がらなくてビクビクしてるんです。私と同期の子は上手くできてるんですけどね」
「うん」
「正社員がやることと言えば、専門的な商品知識を覚えることなんですけど、タンパク質がどうとか、この薬にはビタミンが何パーセント入ってるとか、そうやって知識を積み入れるんですけど、一向に仕事ができるようにならないっていうか。ミスばかりで」
「うん」
「全部、私の気が弱いから舐められちゃうんだと思うんです」
「…………」
「気が大人しい女というのは決してない。気がおとなしい男はいるけど、気がおとなしい女はいない。まあこれは俺のセリフではないんだけど、ね。ある女性タレントが言ってたんだ。『私は難しい人生訓のようなものは他に何一つ知らなくて中卒で頭も悪いけど、これだけは確信を持ってはっきり言えます。気の弱い女は絶対にいません。どんなに大人しそうに見える女でも、本当に弱いということは絶対にありえません。全ての女は間違いなく気が強いです。私は同じ女で、たくさんの女を見てきたからわかります』」
「へー」
「うちの姉ちゃんもそう。外では借りてきた猫のように大人しくていつもプルプル震えてるけど、家では俺に当たりが強いしね。ヒステリックだと言ってもいいくらいだよ。女の兄弟を持つとよくわかる。全ての女の中には必ずヒステリック性が刻印されている。女性をよく目を凝らして見ていればわかる。どんなに大人しい厚い皮膚を被った子でもヒステリック性が眠っている。男には全く一欠片もない奴がいるけどね。のび太みたいに何を言っても言葉が通り過ぎていき、ずっとベッドに横たわっている昼行灯がいる。山奥にテントを張って過ごしたり、毎日玄米だけ食べて過ごすとか、男にそれができる奴はいても女は誰1人としてできやしない。それは一重に精神の弱さからきている。多分ヒステリックは精神の弱さからきていると思う。精神の弱さが忍耐の欠如を誘発して、小さな器から怒気がこぼれ落ちる。それがヒステリックの正体だと思う。女の子はある程度のキラキラしたものに囲まれていなければ呼吸がままならない。そんな女の子らしさにいつも守られているから気が弱くなってしまう。だけど、その女の子特有の気の弱さが逆に気を強くしているんだ」
「へー」
 俺は彼女が全く希望していなかったアドバイスを長々と語り終えた。

「私はそうならないように気をつけなくっちゃ……」

 松子ちゃんは小さな声で呟いた。
 4LDKの3000万ぐらいの家で静かに黙々と家事をこなし、旦那さんが帰ってくるとその手を止めてすぐに玄関に迎えに行くような、松子ちゃんはそんな奥さんになりそうだった。松子ちゃん自身もそういう奥さんになりたいと決意しているようだった。
 女という生き物は、膣内を出たり入ったりかき回されるたびに、膣内壁の角質がポロポロと剥がれ落ち、それと同時に貞淑さも剥がれ落ちていく。AV女優が数年経つとガサツで下品で深夜番組のヨゴレ要員になるように、性の奔放と貞淑は反比例の関係にある。
「じゃあ、気が弱くて彼氏ができなかったんじゃなかったなら、なんでできなかったのかなぁ」
松子ちゃんはフワッと言った。よっぽど彼氏が欲しかったのか。
「環境とタイミングだよ。現に今、君は初めて会った男を部屋に泊めている。今までの帳尻を合わすように運命がバランスを取ろうとしているんだ」
「…………」
 ここは、『そんなこと言う人は追い出しちゃおっかなぁ〜〜♪』なんて可愛いツッコミを入れるところなんだけど、経験とセンスがない松子は、ただポカンとした顔で煮卵を転がしてるだけだった。

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 脱出系のホラーゲームを一緒に見ていたのだが、実際に脱出ゲームをやってみようということになった。ネット上に転がっている適当なブラウザ型の脱出ゲームだ。夜の23時だっただろうか、丁度いい頃合だった。
 脱出ゲームは難しかった。20分ぐらい同じところで詰まっていると、なんで俺達はこんなことをわざわざやっているのかわからなくなった。なんでわざわざ自分から閉じ込められてるんだろう? 大抵の女は詰まると、もういいと言ってつまらなそうな顔をする。心が擦れた女ほど忍耐力がなく、こういう緻密なゲームをすぐに投げ出してしまう。そもそも初めからやる気を起こさない。セックスの方がよほど自然だという顔をする。
 それに対し松子ちゃんは猫のように真面目だった。いつまでも画面に釘付けだった。途中目薬を差して目をシパシパさせながら頑張っていた。脱出したくて仕方なかったわけではない。この場をシラケさせないために真剣にゲームに臨んでいたのだ。よくわからない初対面の男と時間を過ごすには、目の前の遊びに本気になるというのが彼女の処世術だった。あたかも自然に夢中に楽しんでいるような演技をしていた。それは心の優しい人間だけがつく嘘だ。
 部屋に夜で2人きり。もう1時に差し掛かった。背もたれにしているのはベッドだ。このベッドがさっきからずっと存在を主張している。にも関わらず一生懸命2人で脱出を図っているのは、運動会のしおり作りをやっていなければ気が保てない芋臭い中学生カップルと同じ理由だったように思われる。しかし、我々は中学生ではない。

 さあ〜〜て、皆さんッ! お待たせしました!! セックスの時間です! 本当にごめんなさい、お待たせしました! いやー、長かったですね!(笑)。実はこの記事、このブログの最長記事になっちゃったんですよ!(笑)。思想や見解を垂れ流す記事よりも、物語や体験談の方が読まれるもんだから、こんな長い記事になってしまいました! 出会い系の記事ですもん、そりゃセックスしますよ!(笑) では、はじまりはじまり〜〜〜!

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 23歳のまま処女を迎えた女というのは、ここまでマグロになるのかという程無反応だった。それは純朴で可愛らしいというべきかもしれないが、正直物足りなかった。
 見窄らして骸骨みたい身体をしていた。胸もないし乳首が豆鉄砲みたいに付いているだけで、少年みたいな身体だった。松子は目を瞑ることはなく、かといって見開くわけでもなく、薄い半眼でずっとぼーっとしていた。
 フェラしてと言ったら30分もやってくれた。もういいよと言わなければいつまでもやってくれただろう。しかし下手くそでただ口の中に含んでいるだけだった。こんな下手な女は初めてだった。舌を絡ませたり吸引したりとか、そういうことをするのはハレンチだと思っていたのだろうか? 初めてだからやり方がわからなかったのだろうか? おそらくどちらもだろう。今後、経験を重ねていっても絶対に上手くならないと思った。
 気持ちのいいセックスは、欲望の底に自ら落ちていくような、あるいは中心にある光の球体に自分からぶつかりにいかなければならない。彼女は恥ずかしがってやらないのではなくて、頭から淫乱というものに興味がないのだ。まるで中学生の女子のように、そういうもの全てに対して「はは……」と乾いた笑いしかできず、抱き合ったりキスする程度が彼女の性における最大沸点だった。少なくとも今は。
 体が固いだけじゃなくて心も固い。彼女が処女ということを差し引いても、明らかにセックスに対して固すぎた。しかし根っからの隷属タイプで、俺があれしろこれしろと言うと何でもやってくれた。乳首を舐めてと言ったらスイッチを入れたルンバのように舐めてくれた。しかし甘噛みしたり舌でこね回すといった気が利かなかった(気が利かないところもルンバそっくりだった……!)
 基本的に仕事ができず、何でもハイハイ言って受け身で間が抜けた人間はセックスも下手だと見て間違いない。彼女は仕事ができないと言っていたけど、気が利かないのだ。指示を額面通りに受け取るしかできない。乳首を舐めろと言われれば口に含むだけだ。「舌先で転がして」とか「もっと吸引して」とか、イチイチ俺はそんな情けない下品な言葉で口を汚さなくてはならないのか?
―――処女だから仕方ないだろ。 そう思うかもしれないが、そんなことはない。ただ思い切りの良さが足りてないのだ。
―――初めてだし、淫乱だと思われないように気を使っているんじゃないの? いや、何も考えていないポカンとした顔だ。仕事中もこんな顔をしてるんだろう。
 では、女子力やコミュニケーション力が高い女の子を想像してみてほしい。齋藤飛鳥にしようか? 堀未央奈でもいい。彼女達が初めてセックスするとしたら(彼女たちが処女かどうかは置いておいて)、ドギマギして鈍くさくなるだろう。だけど、憂いの瞳で相手を見つめたり、艶っぽい動きをしたり、耳の中に舌を入れられてヒャッ! と反応してみたり、「気持ちいい……?」とか相手の気を伺った行動や発言をするだろう。これは女子力よりコミュニケーション力というべきか。コミュケーション力が高い人間ほどセックスが上手い。松子は小学生が初めて工場見学に来たような態度だった。処女だから、おとなしいから、付き合ったことないから、なんて言い訳は通じないほどつまらないセックスだった。
 次は衛藤美彩を想像してほしい(乃木坂ばかりで申し訳ない)。彼女は最近グループを抜けて交際発表をして今頃はヤリまくっているに違いないが、彼女がグループ卒業まで処女だったとしたら(そんなことはあり得るかあり得ないかは置いておいて……!)、最近女の子も卒業したということになる。美彩ちゃんはどうだったろうか? 乳首を口に含んだまま止まってしまっただろうか? お姉さんキャラでコミュニケーション力が抜群の彼女は、たとえ初めてだとしても、そんなことは起こり得ないと俺は見る。彼のために一生懸命になったはずだ。相手がナマで挿れようとしてきたら、アリだったら何も言わずに受け入れ、ナシだったらNO! とはっきり言ったに違いない。衛藤美彩ちゃんだったら、ね。

 処女だったので挿入は難儀した。かなり狭かった。途中で何か壁のようなものがあってそこから先に進めなかった。俺がデカすぎたわけでも彼女が狭すぎたわけでもなく、ちょうど膣内の半分まで行くとそこから先は進めず、撤退するしかなかった。そんなことを何度も何度も繰り返し、このまま永遠に奥までたどり着けないんじゃないか? と不安になった。俺は無言のまま半分まで挿れて腰をチョコチョコ動かしていた。ハンチング帽みたいに先っぽだけが被るだけだった。明らかにおかしい雰囲気が流れた。それは処女の松子でもわかったらしい。

 今日はとてもいい子に出会えた。出会い系はクソばかりで、自分から質問系のメッセージを送ってきたり、一緒に花火大会に行きませんか? と言ってくる女などいやいない。経験豊富で眼が肥えた女は俺のことを好きにはならない。この子は貴重なんだ。

 真面目でいい子だ。この子とならちゃんと恋愛ができそうだ。多少セックスが下手でも構わない。そのうち慣れてくるはず、そう慣れてくるはずっ! だが、これはどうだ? 先っぽしか挿入できないセックスはどうなんだ? これはセックスと言えるのか? これから付き合ってデートしてホテル行っていい雰囲気になって、キスしてベッドに押し倒して挿入となると、先っぽだけのセックスをしていくのか? 先っぽだけ挿れてすぐスッポ抜けて、また挿れてスッポ抜けて、ということを繰り返すのか? しかし、事実そうだった! 3回に1回はスッポ抜けていた! スッポ抜けるたびにかっこ悪い男に見えた。慌ててアソコをモジモジさせながらずっと試行錯誤していたので、松子ちゃんからすると、

(人の性器で何をコソコソしているんだろう?)

(人の性器で脱出ゲームでもやってるのかしら?)

 という不快があっただろう。
 2人の間に暗い影が立ち及んだ。いくら人間の相性がよくても、性の相性が悪ければ恋愛は上手くいかない。ある50代のおばさんが「恋愛って結局セックスするためにあるんだよ」と言っていたが、本当にそうかもしれないと思った。女は男から「お前のここが良くない」と生活態度を注意されるより、「お前のマンコ気持ちよくない」と言われた方が20倍傷つくのだ。

 何度かチャレンジして、俺の勃起パワーがマックスの時に押し込んでみたら、奥まで突き抜けていった。単純に俺のチンコがふにゃけてただけだったらしい。大きさよりも固さが大事だなと思った。詮無いことを言えば、1度バイブを奥まで突っ込んで膜を破壊してからなら、こういう場合うまくいくかもしれない。行為は1時間ほどに及んだが、彼女は一切喘ぐことはなく終始無反応だった。脱出ゲームの時はすごく気を使って頑張ってくれたのに、セックスの時は本当に淡白だった。
フルーツグラノーラ食べますか?」
「今度家の近くの○○寺を散歩しませんか?」
 セックスが終わると急に彼女は饒舌になった。そして風呂に向かっていった。俺は暇を持て余した。しょうがないので俺も風呂に向かった。ボディソープで身体を洗っている彼女を後ろから犯した。その時も無反応だった。やはり場面が「エロ」になると彼女の時間は停止する。正直、急に現れてバックで犯そうとして、またさっきみたいに途中までしか入らなかったらどうしようかと思ったけど、うまくできてよかった。急に現れて急に挿れてきて、3回に1回スッポ抜けてたら、そんなカッコ悪いことはない。しかし終始反応はなく、俺もただ腰を振り続けるだけで、お通夜みたいな雰囲気だった。

 午前8時頃になり、彼女は会社に行くことになった。クリエイトの制服を着て「じゃーん♪」とクルッと回って見せてくれたのが可愛かった。フルーツグラノラを作ってくれた。「駅まで送りますね」と言って車のキーを持ち出して家を出ようとした瞬間、「あのさぁ松子ちゃん、もっかいフェラしてくんない?」と俺は言った。彼女は一瞬重たい荷物が身体にのしかかったような顔を見せたけど、すぐに「いいですよ」と言った。
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 俺は電車の中でLINEをした。
「今日はありがとう。楽しかった。急に泊めてもらったりしちゃってありがとう。お仕事頑張ってね。また泊まり行きたいです」
 と送ったら、すぐに返事が来た。
「私も楽しかったです。また泊まり来てください(笑)」
 と返ってきた。
 このLINEで俺の中で何かが弾けた。これだッ! と思った。俺はこれを求めていた。味気のない仕事の毎日で、ジジイとババアのマッサージをする毎日の中で、つかの間の癒し。土日いや、金曜の夜だけでもいい、週に1回だけ俺に聖杯の雫をかけてくれないかと。そんな風に思っていた生活のゴールが見えた気がした。
 また泊まり来てください……か。やったな、やりやがったな、今回はどうでもいいような女じゃない。真面目で家庭的な女の子だ。出会い系は男も女も俺も含めて変人しかいないと思ってたけど、こういうこともあるじゃねえか! やった、やったぞ! 俺は途中の駅で降りて走って帰りたい気分だった。

「オカンと電話したら、初めての女の子にナマでするような男はやめなさいと言われたので、もう会えません」
 俺はこのLINEを仕事中に見て気が気じゃなくなった。いつも適当にマッサージをしていたが、この日はもう頭が狂ってしまって、ずっとベッドを揉んでいた。
「…………」
(しかし「ナマ」ってまた凄いな。先日まで処女だった女の子なら、「コンドームをつけずに」あるいは「避妊具」と表現するだろうに。それだけ表現が雑になるくらい、俺の事なんてどうでもよくなったのか?)

 俺は家に帰ってすぐ松子に電話をかけた。

「なんで? もう会えないってどういうこと?」
「あの後、オカンに電話したんです」
「初めての女の子にナマでやろうとしてくる男はやめなさいと言われました。すごい怒られました。友達にも電話したんですけど、そんな人は絶対にやめてって。そもそも私が悪いって言われました。出会い系で初めて会った男をその日に部屋に入れるなんて考えられないって言われました。私も悪かったなって反省してるんです」
「ハハハ、俺はすっかり悪者だな」
「なんでナマでやろうとしたんですか? いつもそうしてるからですよね?」

 また泊まりに来てくださいってLINEくれたじゃねーか。そのLINEを送った時はまだ俺に気があったってことだろ? やはり母親との電話で完全に俺への熱が冷めたんだろう。いや、それともこれから会社に行くって時にフェラを強要したのがまずかったか? あの時重たい間が一瞬あった。
 母親。いや、松子ちゃんは自分から電話をした。自分からかけたってことは母親に電話する前から既に心配があったということだ。出会い系の男を部屋に入れてナマでやってしまったことに電話する前から悩んでいた。
 友達にしろ、お母さんにしろ、そんな話しを聞かされたら誰だって、俺だって、そんな男はやめろというに決まっている。しかし、ちゃんと俺の良いところも言ったのか……? ただ事実をありのままに話したら俺の悪いところしか届かねぇじゃねーか。俺の良いところもちゃんと言ったのかよ? しかし、俺の良いところって何だ?(笑)
 わけわかんねー。勝手に悪者にされて最悪な気分だぜ。よく悪い男に引っかかったとかいうソレじゃねえか。アレのソレじゃねえか。俺がどんなに優しい人間か知ってるのか? 職場のおっさんが1人で浮いてても、俺だけはまともに話してんだぜ? 年下の20歳の介護士がおっさんに「体温計取ってきて」と言った時、俺はその介護士に言ってやったんだ。
「高田さん、年上の人にその話し方は良くない。仕事では高田さんの方が先輩かもしれないけど、年配の人には年配の人への話し方があるはずだ。古谷さん(おっさん)が若いスタッフのように機敏に働けなかったとしても例外にならない。スタッフ全員が古谷さんにタメ口を聞いたとしても高田さんもタメ口を聞いていいわけじゃない」
 古谷さんは結局辞めてしまったけど、俺だけは最後までシカトしなかったんだ。俺だけはずっと敬語つかったんだ。松子、お前にできるか? お母さん、お前もだ。できるか?
 あんた達はすっかり俺を出会い系の悪性腫瘍だと決めつけたようだけど、松子、お前は自分の頭と魂で俺を評価して部屋に入れたんだぞ? 少しお母さんに諭されたぐらいでコロコロ意見を変えるのは大人として恥ずかしいんじゃないか? それは俺を否定しているんじゃなくて自分を否定していることになるんだ。俺がガンかどうか見分けがつかなくて、お母さんに聞かなきゃわからないなんて、それは自分の23年間を否定している。仮にも君の貞操を捧げた相手じゃないか。

 俺も確かに良くない。ナマでやったことじゃない。男性用ピルを飲んだとかふざけた嘘をついたことだ。ナマでやったことは特に悪いと思っていない。イヤと言われればやらなかった。イヤと言わなかったお前が悪い。

 しかし、お互いがあの夜に何を思っていたのか、ここできちんと話して収まりがついたというのに、もう元に戻れないというのは残念だ。俺の悪いところはわかった。松子ちゃんの悪いところもわかった。なのに、また会いましょうにならない。
「婦人科に電話した女の子の気持ち分かりますか?」
 わかるよ。俺だってチンコが立たなくなってEDかもしれないと思って泌尿科に行ったことあるもん。仮性包茎だから手術を受けようかと思ったこともある。3回に1回は肛門から出血するから痔の手術も受けようと思ったこともある。周りの友達は結構受けている。これらは女からすると口が裂けても言えないことだろう。恥辱感は男の比じゃないだろう。しかしそれは男女という性差を作った場合の話だ。実際は同じことが起きている。男にも女にも同じことが起きているのに、女だから凄惨な事件が起きた、傷物にされた! と泣訴するのはおかしくないだろうか?
 俺は全ての出会い系の女(17人)とナマでやってきた。これはお互いが覚悟してやったことだ。いや、単に頭がおかしかっただけかもしれない、深くも考えていなかったかもしれないが、とにかく女達からクレームが入ったことは1度もない。
 しかし、これはあまり考えたくないのだが、その中にはヤリマンが何人かいて、俺はその子達とナマでやってきたのだ。つまり俺は既に性病に罹患しているかもしれないのだ。今は別に異常はないけど、「イッチニ♪ イッチニ♪」とまだ幼い潜伏型の性病ウイルス君が準備運動しているかもしれないのだ。泣きたいのはこっちの方だ。条件は同じなんだ。医者にエイズだとはっきり言われるのが怖いから病院に行けないだけなのだ。「気持ちがわかりますか?」だって? わかるよ(笑)

 女が産婦人科に行ってピーチク泣いていると、それはドラマチックで深刻で、周りの人間は固唾を呑んで怖い顔をして、女にこんな思いをさせる男は最低だ! 暴虐無人だ! と喚き立てる。俺も当時はそう思っていた。ひどい男だなと自分でも思っていた。もうナマでやるのはやめようと思った。だが、今は違う結論に至っている。
 イヤならイヤと言う事。これが一つ。その場でイヤと言わずに後になってイヤだったというのは反則である。
 もう一つは、女は女の弱さを受け入れ過ぎている。傷つけられたとわんわん泣き叫ぶのはやはり女のヒステリック性が関与している。女は女の弱さを受け入れることでヒステリックが育つ。あんなに大人しかった松子ちゃんでさえ、別れのときは強い口調だった。俺に対して気持ち悪いとさえ言った。

 彼女は今どこで何をしているだろうか?
 青森に帰ってしまっただろうか? 
 今もまだ俺につけられた傷が癒えてないだろうか?
 結婚して幸せになっているだろうか? 出会い系で別の男を見つけたか?

 出会い系で傷を負った女は、出会い系なんて二度とやらないと言いながら戻ってくる。

 幸あれ。