25歳のときに人生に迷ってエロゲ会社に応募したシナリオ「放課後レイプ」

25歳の時、印刷工場で働いていて、いつも目の前でガタガタ揺れる印刷機を見て気が狂ってしまっていた。

一生この毎日が続くのか、なら死んだ方がましだ。

何か……? 何かないのか……? 俺は本当にこのクソみたいなガラクタを廻すために生まれてきたのか……?

俺は……、このキカイが滞りなく運転されるために、2分に1回部材を詰めるしか能がない人間なのか……?

何かしたい……。何か……ッ!

オイル臭くなって、外でカラスが集っているワンルームのアパートに帰ると、すぐにエロゲーに塗れて精液まみれになった。それはさながら白い海の中を漂流しているようで、支給された作業着も、いつも俺だけ真っ白だった。

そんなある時、エロゲー会社のシナリオライター採用募集を見た。

鬱野郎のほとんどはなぜかエロゲーを好む。彼らにはもう現実的な情報は届かないのだ。それを受け取る心のスペースはなくなってしまっている。ただ甘く優しい声優の高い声だけが聴き取れる。

(よし、エロゲーシナリオを書こう……!)と思って、「アトリエかぐや」という陵辱系エロゲメーカーに3点のシナリオを提出した。この「放課後レイプ」はその1つである。

別に大した代物じゃないが、25歳の人生に迷った工員が、狂いに狂ってエロゲー会社に送りつけるシナリオってどんなものだろう? という1つの研究対象にしてくれれば幸甚だ。

メーカーの方で様式は決められていて

・20KB(120000文字、原稿用紙30枚分)以上

・夜の教室で男子生徒が女子生徒を凌辱するシーン

・完全オリジナル作品

という感じだったと記憶している。

エロゲーのシナリオなので、エロい言葉以外は出てこないけど(このブログの他の記事も似たようなもんだけど)暇潰しにどうぞ。原稿用紙30枚分くらいあります。長いです。

 

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「放課後レイプ」      電動しまるこ

 

登場人物

鳩山 啓太(はとやま けいた)

「高校1年生。趣味は海外ドラマ鑑賞。基本的に物静かで、クラスでは一番後ろの席で皆の様子を見ていることが多い。カバンを持たずに学校に来ることがあり不良ではないが非常識な行動が多い」

東条 雪 (とうじょう ゆき)

「高校2年生。才色兼備。品行方正で一挙手一投足に凛とした美しさがあると同時に、子供のようなあどけなさもある。テニス部だが日に焼けていない。よく大きく目を見開いてきょとんとする仕草をする」

 

︰夜 学校の教室

 

【啓太】「不運でしたね。そう、あなたはただ不運だったんです」

【啓太】「そんな綺麗に生まれついてしまったばかりに、この暇人の狂刃にかかってしまったんです」

俺はいつもこの日を夢想していた。

黒板の字を写すとき、ペンをクルクル回すとき、更衣室でシャツを脱ぐとき、家に帰って部屋の壁を見るとき、いつも東条先輩のことを考えた。

【啓太】「あなたの何がそんなにいいんだろう? その透明より綺麗な肌、怖気ついたその仕草もまたいい」

【啓太】「『てめえッ! 何すんだよッ!』……なんて汚い口の聞き方をしない。そんな口の聞き方をされたら興冷めですからね。レイプ野郎の前でも、美少女の仮面を被るわけだ」

【東条】「……………」

【啓太】「あなたは成す術もなく囚われている」

【啓太】「もうどうにもできない。俺がいくら非力だとしても、女のあなたにはこの状況をどうにもできない」

【啓太】「さぁ、東条先輩。俺を気持ちよくさせてみろ。お前のありったけの奉仕をしろ」

【東条】「…………」

【啓太】「なに、気にすることはない。死にはしない。怪我もしない。気にさえしなければ明日も変わらない朝がやって来る」

【啓太】「俺は本当に寂しいよ東条。こんな手段でしかお前に近づくことはできなかった」

【啓太】「こんな凶行に出なければ、永遠にお前を指を咥えて見つめていただけだった」

【啓太】「だが、俺は考えた。お前は清純派学園アイドルだ。廊下ですれ違う男どもを魅了するためだけに創られたサイボーグだ」

【啓太】「天から与えられた個体値を女子力に全振りさせたと言っていいだろう」

【啓太】「そんなお前が誰とも知れぬ汚い野良犬のような男に蹂躙されたとなったら、お前のその輝かしい学園生活はどうなってしまうだろう?」

【啓太】「学校では皆から愛され、家ではお母さんがかぼちゃスープを作って待っていてくれる」

【啓太】「可愛いノートを取り出した妹に勉強を教えて、二人でどうでもいいことでクスクス笑う」

【啓太】「妖精の戯れのような幸せな毎日だな東条。成功を収めた実業家より幸せだろう」

【啓太】「しかし――――――ッ!」

【東条】「…………!」

【啓太】「その幸せは、お前の清潔な身体によって支えられているッ!」

【啓太】「もしお前が暇人の毒牙にかかったとなったら話は別だ。みんなお前を可哀想な目で見る」

【啓太】「男子は男子どもで舌舐めずりし、お前が野良犬と交尾した様子をありありと想像する」

【啓太】「レイプされた女だから別にいいや、といった調子で遠慮なく堂々と、お前が同じ教室内にいるのにも関わらず、好き勝手に回想し倒す」

【啓太】「お前のお母さんやお父さん、おじいちゃんもそんな回想をするかもしれない。街を歩くたびにレイプされた女と思われる一生だ。結婚もできないかもしれない」

【啓太】「人は、誰がいつどこでレイプされたという以上に面白い話題を持たない。絨毯に落ちた牛乳より早く染み渡っていく。相談にのってくれる警察も教師も裁判官もみんなお前をエロい目で見る」

【啓太】「妹と勉強しながらクスクス笑えなくなってしまうぞ。お前はそんな毎日に耐えられるか? 東条」

【東条】「…………」

【啓太】「ただ、黙っていればいい。気にしなければいいんだ。そうすればこれまで通り、お前の視聴率の高い学園ドラマは継続される」

【啓太】「お前に俺の気持ちが分かるか? 俺の勇気がわかるか? 下手したら少年院行きだ」

【啓太】「今も終わった人生に違いないが、終わるどころか巻き戻ってしまうんだ。また1から人生を積み上げないといけなくなるんだ。負債を抱えてな」

【啓太】「俺のことを好きになれとは言わない。一夜限りの夢を見させてほしいんだ! 勝手なのは分かってる! こうするしかなかったんだッ!」

(ふう……)

これからレイプする女にバカ正直に言いたいことを全て言い終えた俺はスッキリしていた。

東条はその間、ただの一言も話さなかった。

東条の耳には俺の言葉はほとんど届いてないようだった。

ただ、これから起こるであろう惨劇が、確かに自分に起こるんだろうという恐怖と戦っているようではあった。

ここには誰もいない。私と狂人しかいない。救いはない。泣いても叫んでも抵抗しても助からない。

たまにあたりをキョロキョロさせながら、そんなことを考えているような顔だった。

【啓太】「ギィイイイイヤアアアアアアーーーーッッ!!」

俺は汚い雄叫びをあげると、剥き出しになったチンコを東条の白よりも綺麗な顔に押しつけてやった。

グリグリグリグリ……!

顔の凹凸や鼻の出っ張りが硬くて気持ちよかった。

東条をレイプするときは、その端正な顔立ちをこれまでという程、俺の最も汚い部分で汚してやろうと決めていた。

【啓太】「ハァハァッ……! ハァハァ……ッ!!」

グリグリグリグリ……! 

親の敵のように顔面に擦り付けてやる。殴りつけているようなもんだった。

【東条】「あ……ぅ……! ん……んん……!」

東条はアプアプしながら、殴ると本気で嫌そうな顔をする猫のようにしかめ面を見せた。

【啓太】「ヒイィーーーーーーッ!! イヤッホォーーーーッッッ!!」

自分でもこんな陽気な自分に出会ってびっくりした。ディズニーのパレードでもこんな陽気な男はいないだろう。

俺は世界一の幸せ者だ。いつも右手かパンツにしか触れられないソレも、世界一美しいモノと重なることができて嬉しそうだった。

【啓太】「ヒャッホイヤッホオヒャッホーーーーーイッ!! ヒャッホホオアオオーーーーッイイィ!!」

楽しまなければ損なので俺はどんどんリミッター外していった。

【啓太】「イエエーーーーイッ!! 東条センパイ楽しんでるぅぅーーーーッ!?」

【東条】「…………」

【啓太】「関係ないけど、東条センパイと東条ヘンタイって似てますねーーーーーーーッ!!」

東条は顔面に悍ましいものを押しつけられてアプアプするばかりで、この状況をどうするかという答えが出せないようだった。このまま答えが出せないまま終わってしまうこともあり得た。

俺は硬く大きくなったソレを、東条の頬にめがけて、横に大きく薙ぎ払った……!

「バチィィィンッ!!」

と大きな音がした。

東条は生気の抜けた顔をした。

今まで一生懸命水をあげてきた植物を引っこ抜かれたような顔をしていた。

【啓太】「ウハ……!! ウハハハハハハハッッ!!」

俺は何度も高笑いしながら、「バチイイン!  バチイイン!!」とひたすらチンコで東条の頬をビンタをした。

東条の頬は赤を超えて紅蓮になり、それはまるで違う誰かがこの場を目撃したら、東条が興奮していると思ったに違いなかったろう。

東条は普通にレイプされるのだと思っていた。

服を脱がされ、犬のような格好をさせられ、腕や肩を掴まれて、ある程度の暴行を受けるんだろうと思っていた。

だが、こんなおもちゃのように、ワタシの顔を――、桃と水と霊気をブレンドして育て上げたワタシの顔を―――、画面が割れたiPhoneのように遊び倒された!

もう何が何だかわからなかった、あまりにも日常と違いすぎた。

東条はどこまでも堕ちていく気がした。

これが地獄か。もっと恐ろしいものかと思っていたけど、な。目の前で黒くて硬い鉄棒が右から左へ、左から右へと薙ぎ払われ、私はただそれを見続けている。

こうして、ただありえない映像が目の前に映り続けることが、地獄というもの、なの……?

【啓太】「…………パ♪」

東条はそんなことを思っているように見えた。

【啓太】「パッパッパッパ♪ 踊ろう! 騒ごう! パッパッパッパ♪ パパパだピョ〜〜〜〜ン♫」

俺はリズムに合わせて乱暴を働いた。

もちろん、『ピョ〜〜〜ン♫』の部分で一際強くチンコを叩きつけてやったのは言うまでもない。

【啓太】「キッヒッヒッヒ……!」

レイプだから仕方ないと、あなたは思っているでしょうか……!?

だけど本当にそうでしょうか? 周りはそれで納得するでしょうか? お湯で洗い流せば落ちるでしょうか? このちんぽの臭みと汚れはあなたの細胞の深く深くに取り返しがつかぬほど、今、こうしてッ! 染み渡っているのではないでしょうかッ……!?

【啓太】「アンドゥッ♪ トロワ♫ アンドゥ♪ トロワッッ♫」

もしコレが逆の立場だったら、汚いババアやデブ女の性器を顔面に押し付けられるということだ……!

30万円はもらわないと納得できないなッ!

【啓太】「パオーーーン! パオォォォーーーーーーーーーンッ!!」

俺はゾウのモノマネをしながらチンコビンタを繰り返した。

そしてチン先で東条の顎をクイッと上げてみたり、飛天御剣流・龍追閃(ひてんみつるぎりゅう・りゅうついせん)を放って、チンコソードをデコに思い切り斬りつけてやった。

【啓太】「さて、前菜はこれまでだ。もう腹ぺこだぜ」

【啓太】「見てくれ東条。コイツ、寂しがってんだ。抜き身になって行く宛がないんだ。帰る場所を探している。迷子なんだ。君の膣の中に今晩泊めて貰えないだろうか?」

【東条】「…………」

ブンブンブンブンと東条は激しく首を振った。

【啓太】「ちょうどいいスカートの長さや、相槌の仕方、声の出し方まで緻密に計算して男を酔わすだけ酔わしておいて、それはないんじゃナイの〜〜〜!? 東条センパ〜〜〜〜イ!」

俺はもう一度、その熱く黄金色に光る灼熱串を東条の顔面に近づけて、先っぽで顎をクイッと持ち上げて言った。

【啓太】「お前は通りすがりのオナホールだ! これはセックスじゃない! 俺のオナニーだ! 贅沢なオナニーに過ぎない!」

【啓太】「何も入ってないクローゼットほど寂しいもんはないからな。お前の性器は俺の性器と一つになることで完全体になる。これは不足したものに埋め合わせをするという自然回帰なのだ」

【啓太】「難しくてよくわからないか? ごはんとお椀みたいなもんだ」

【東条】「…………」

東条は押し黙っている。これから破瓜の目にあうことは分かっているようだ。

東条は本当にいい女だ。下品な女だと、「イヤアァァァーーーーッ!!」と演技臭い耳障りな声で泣き叫ぶ。東条はその辺りをよく分かっている。男を楽しませるために遣われた小野妹子みたいなもんだ。

美少女というのは不自由なもんだ。いつも可愛らしい振る舞いしかしてこなかったから、こういう時、ちんこを噛みちぎって逃げるという発想がない。

【啓太】「お前はレイプされることより、青春を失う方が怖いのだ。そして、それでいい」

【啓太】「よく考えてみろ、レイプとセックスの何が違う? この先お前は10人と付き合って結婚して子供を産んで死んでいくけど、そう、大体700回ぐらいセックスすることになるだろう。よく考えろ、これはその中のたった1回だ」

【啓太】「たくさん出し挿れを繰り返された記録の1つに過ぎない。レイプもセックスも何もなく終わる人生よりはいいだろう?」

俺はパンツを無理矢理脱がすと、初めて見るおまんこというやつに出くわした。

思わず赤信号を見たような気分になり、大人しく停止するしかなかった。

小さく毛が生え揃っていて、まるで赤ちゃんのような、卵のような、ついさっき創られたかのような新鮮さがあった。

真ん中に小さな筋のようなものがあり、その下に穴が空いていたので、鼻下の線とおちょぼ口のような関係に見えた。

誘っているような、飲み込むような、飲み込まれるような、そして辺りに光粒が舞っているような気がした。

「立ち入ってはいけない」そんな声も聴こえた気がした。この先の領域には立ち入るな……と、鼻下の線が入ったおちょぼ口みたいなのが警告している。

俺は無理やりちんこを捻じ込んでいくと、東条は苦しそうな顔をした。処女だったのだろう。処女膜と心が破れる音が聴こえた。

【啓太】「アモーレッアモーレ♫ 今日はいい日だ素敵だなぁ〜♪ 砂漠の中に大海原が〜♪ アモーレアモーレ♫ 不思議だなぁ〜〜♫」

童貞だったから難儀はしたものの、調子がついてきた俺は鼻歌交じりに東条の秘密の園を旅行した。

「バンバンバンバンッ! バンバンバンバンッ!」

激しいピストン運動が続いた。俺は自分が気持ちよくなることしか考えていなかった。世界を壊すつもりで腰を叩きつけた。

【東条】「ーーーーーーーーッ!!」

東条は号泣した。声にならない声で泣いた。子ウサギのように固く縮まって、肩も腕も力が入って収縮していた。

【東条】「ゥ……ゥ……ーーーーーッ!」

【東条】「ーーーーーッ!」

東条は歯を食いしばって顔のシワが中心によって破顔している。

起こる不安が起こった。今こそが最凶の真っ最中。不幸のど真ん中に直面している。こういうとき、人間はどうなるんだろう……?

我々はいつも頭からニンジンをぶら下げた馬のように2つか3つ前のことに意識がいっている。

(何を食べよう?)

(あれがしたい、これがしたいな)

東条は今、全国高校テニス選手権大会の予選トーナメントで、デュースが続いてギリギリになっているときくらい、今に集中していた。

東条の身体と心は停止しているように見えた。過去も未来もない。東条の時間はどこに行ってしまったのだろう?

互いの股間から精液か涙なのかわからない液体が溢れてきて、それが潤滑油となり、俺はさらに激しく加速していった。

「バンバンバンバンッ! バンバンバンバンッ! アヒージョアヒージョッ♫ アモーレアヒージョッ♫」

【啓太】「東城ちゅわあ〜〜〜んッ♪ 今どんな気分ですかーーーッ? 今日は愉快だお日様だぁぁぁぁーーーーーッ!!」

こういう時、「大丈夫……? ごめんね?」「痛くない……?」「立てる……? 手かしてごらん?」という言葉がどれだけ女を馬鹿にするかわかっているつもりだ。

女を傷つけるんなら完璧に傷つけなければならない。

女は自分を傷つけた男は許せるが、傷つけられない男は許せない。童貞だけど、海外ドラマをよく見ていた俺はそんなことをよく知っていた。

こんな弱々しい子リスのような女でも、俺がどっちつかずにおどおどしていたら急に強気になるのだ。だからひたすら悪に水を注ぐのみだ。

戦う相手は東条じゃない、自分だった。

「ブッシュュュューーーーーーー!!」

光が爆発する! 敵陣をすべて交わし抜いてゴールを決めたような感覚があった。

俺は射精した。白い布団カバーを盛大に広げるように、東条は白に呑まれていった。

【啓太】「どうだ? 顔に精液をぶっかけられた気分は? いつもお前が食ってるローソンのプレミアムなんとかケーキみたいになった気分だろう?」

【啓太】「ハハハハハッ! 300円ぐらいで売ってそうに見えるぞ! 代わりに置いてもらえるといいなッ!」

 

︰暗転

 

射精を終えてみると、普段のいつもと変わらない自分があった。夕食を食べて風呂に入ってベッドでゴロゴロしているときの自分と同じ心持ちだ。

今はもう東条に何の興味もない。早く帰りたい。

【啓太】「ふぅ……」

たった一度の贅沢なオナニーでしかないなぁと改めて思った。

このたった1度の贅沢のオナニーのためにどれだけの男が人生を棒に振ったんだろうか。

精液よりも涙の方が多かったろう。

【東条】「…………」

【啓太】「…………」

闇の間を縫う一陣の冷気が、垂れ下がった俺の哀愁物を小さく撫でた。

(信号でしかない。たった一時、脳に電気が走っただけのことだ)

【啓太】「いいな。親や学校にも友達にも誰にも話すな」

俺はパンツを履きながら東条の顔も見ずに言った。

【啓太】「不幸な2人が生まれるだけだ」

【啓太】「俺は1回やって気が済んだ。弱味を握ってもう2回も3回もやらせろとは言わない」

【啓太】だから楽しく生きろ。明日笑って学校に行け」

【東条】「…………」

東条はただの一言も話さなかった。

 

︰暗転

 

家に帰ると「啓太、遅かったじゃない。ご飯は?」という母ちゃんの声が出迎えた。

「食う」と一言言うと、俺はばくばく夕食を食らいあげた。

レイプした後でも普通に飯は食えるもんだ。びっくりした。

ただいつもより視界が白く見える。心のどこを探しても確かなものが感じられない。目に見えるものも目に見えないものもなくなってしまったようだ。淡くて色が薄い。

(東条はどんな気分だろう……?)

今頃、ボディソープで体を目一杯洗ってるだろうか?

勘のいいお母さんだったら気づくかな。娘に何があったか気づくだろうか?

いつもより帰りが遅いし、顔に暗い影を落としているし、なんだか呆然としている。うちの娘は可愛いし、もしかしたら……? と思うかもしれない。

東条は言いたくなくても、お母さんにしつこく問い詰められたら白状してしまうかもしれない。

【啓太】「…………」

そう思うと急にソワソワしてきた。

俺は少年院に行く前にパソコンのエロフォルダーを削除しようとした。

だが、レイプで捕まる恥ずかしさ以上に恥ずかしいものなどこの部屋にはありはしない、ということに気づいてそのまま布団に身を投げた。

静かに部屋を見渡してみる。

【啓太】「…………」

(レイプとセックスでは自由度がまるで違う! 恋人だったら二度と顔を合わせることができなくなるプレイもできてしまうんだ……!)

(つまり、東条と普通に付き合ってセックスするより満足度が高いことをこれからする……!)

(縮こまった、つまらないレイプなど俺はやらない……! 欲望の全てを……! 夜の教室に置いてくる……!)

数時間前、そんな決意をして飛び出した部屋だった。

…………。

…………。

【啓太】「割りに合わねぇな」

 

︰暗転

 

次の日学校で東条を見た。

廊下で女子生徒二人と話をしていた。

【啓太】「…………」

昨日の夜、彼女の身に何があったかわかる人なら、その小さな異変に気付けたかもしれないが、頭の半分以上は自分のことで占められている女友達にとっては至難だった。

東条は自分からはそんなに話をしていなかった。

2人の女友達から話題を振られると、小さな量を適切な口調で返していた。

レイプされた女というのは、次の日学校でどういう態度に出るのか、長年の疑問が解けた。

もしかすると、この学校にもレイプされた女がチラホラいるんじゃないかとさえ思った。

(レイプ、破瓜、血痕、黒、赤、深い夜、満月、照らされた机と椅子)

東条の顔には確かにそんな言葉の羅列が貼り付いていた。東条はシナプス脊髄反射に頼ることで今をなんとかやり過ごしていた。

いつもの嘘をつくときの態度と、変わらなかったといえよう。

「…………」

東條と俺は目が合った。

俺はうろたえることなく堂々と前を通り過ぎていく。

東条は大きな瞳で俺を見て、お化けを見たような驚きを見せたが、友達に何かを話しかけられ、咄嗟に何か返事をしようとしていた。

 

~完~

 

電動しまるこ様、この度は弊社のシナリオライター採用選考にご応募頂きありがとうございました。弊社としては誠に残念ですが、今回は採用をお見送りさせていただきたいと存じます。スタッフ一同で作品を読ませていただきましたが、「主人公が苦悩に苛まれているという設定には目新しさはあるが、濡場の描写になると雑になる傾向がある」という意見に一致しました。電動しまるこ様が商用市場に通じる技術を身に付けていただいた折には再度ご応募いただければと存じます。