「週に2日だけ働いて6万円以内で生活する」に友達が興味持ってるけど踏み出せない件 2

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友「お前の言うとおり、好きなことをして生きるといっても何をしていいかわからない」

しまるこ「まぁそうだろうね。俺だってよくわかってない。今もひたすらもがいている。とにかく何でもやってみることだ」

友「何でもって言われてもなぁ……」

しまるこ「やりたいことよりも、今すぐ簡単にできることをやるべきだよ。何か夢を見たりとてつもないことをやろうとすると、それについて一生懸命考えて、考えて考えたあげく何もしないということになる。俺も10年以上そんな時間を過ごしてしまった」

しまるこ「ゲーテも言っている。『何をなすべきか、いかになすべきか、のみ考えていたら、何もしないうちにどれだけ多くの歳月が経ってしまうことだろう』とね」

しまるこ「モーツァルトも言っている。『望みは持ちましょう。だけど持ちすぎてはいけまん』とね」

友「例に挙げる人がまたすごいな」

しまるこ「人間、今できることをやればいいんだ。というか、それしかできない。簡単に手早くすぐに行動に移れることだけをやってればいいんだ。それが物事を継続させるコツだよ」

しまるこ「俺はブログを書いてるけど、別にブログじゃなくてもいい。お前は芸人を目指してたぐらいだから、コントをやればいいんだ。毎日ひたすら1分か2分のコントを作ってYouTubeにアップすればいい。最初は絶対に人気なんか出ない。1年2年続けても果たして収益が発生するかどうかだと思うけど、そんなことを繰り返してれば芸もマシになってくるよ」

友「コントって言われてもなぁ。サンドウィッチマンみたいなの作れるわけでもないしなぁ」

しまるこ「素人が熱心にコントやってる動画なんて面白いじゃん。すべらない話でも一発芸でも大喜利でもいい。身近にあったことを話すだけでもいい。それがお前の一番の関心ごとならそれをやればいいんだ。週に2日だけリハビリのアルバイトして、残りの5日はコント作ればいいんだ。理学療法士ならそこらのアルバイトより高給だろう。訪問リハビリなら1日で2万は稼げるよ」

しまるこ「ん? まてよ? 1日2万ということは、週2日働いたら月給で16万稼げるぞ? 16万貰いながらコント作って生活できたら最高じゃん、それでいいじゃん」

友「一度夢に破れた身だからね。芸人やめるときに誓ったんだ。もう俺の人生は終わった。後は手堅い資格を取って大人しく社会に隷属して働くとね。そして理学療法士の資格を取ったんだ。後は他人の成果物を味わい倒して生きていくだけだ。そんな人生を送っていく覚悟を決めたんだよ」

しまるこ「でもそれができなかったから、こうして俺に相談してきてるんだろう? 結局仕事は割り切れるもんじゃない。仕事だけがすべてなんだ。適職に就かなければ一生苦しみから抜け出せられないんだ」

友「ろくに稼いでないくせによく言うぜ」

しまるこ「じゃあ、ここからは建設的な話に向かおう。みんな当たり前にできていることが自分の天分ということに気づかない。当たり前に簡単に出来すぎて自然に思ってしまうんだ。うちの親もやばいよ? 1食の料理を作るのに3時間も4時間も作って、写真に収めたくなる料理を毎日のように作るけど、自分ではまったく凄いことだと思ってない。この料理を毎回YouTubeにアップしてたら今頃相当な収益になっていたと思うけどね。でも面倒臭いと言ってやらない。みんなそうだ」

友「まぁ、お前んとこのお母さんはやばいね」
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しまるこ「耕作がいるよな? 耕作は33歳の155センチのチビだというのに出会い系で女を死ぬほど大量収穫してるよな? 俺はあいつがモテるノウハウやLINEや電話のやり取りをブログやYouTubeに公開したら、すぐに人気になると思うけどね。でも耕作もそれがすごいことだと思っちゃいない。ただ女の甘い蜜を味わうことに終始している。こういうのは自分じゃ気づかないことなんだよ。だけど俺はお前の天分に気づいてるよ。お前はコントをやるべきだ」

友「…………」

しまるこ「手塚治虫の漫画入門の方を読んだけど、これはなかなか面白いね。どこかの誰かが書いたかわからないような漫画入門本が蔓延っている中、やはりこういうのは大御所が書いたものを読むに限る」

しまるこ「この本をなぜ読んだかと言うと、手塚治虫がどうやって大量生産を可能にしたのか、その創作のヒントを見つけたかったからなんだ。読む前から俺の方では予想をつけていたけど、やはりその通りだった。手塚治虫の大量生産の基礎となった部分は以下の通りだ」

・スクリーントーンを使わない。
・背景は誰がどこにいればいいかわかればいい。あまり書き込まない。
・日頃からよくメモをとっておきストックを用意しておく。
・資料は確認するけど、基本的にアタマの中にあるものをそのまま描けるようにしておく
・自分のよく知っている精通した題材を選ぶ

しまるこ「このように、やることとやらないことをはっきりさせている。今の多くの漫画はやたらと装飾や描き込みにこだわってごちゃごちゃしていて、見にくいし画面も冷たい感じがする。鳥山明も非常に速筆だったというね。他の仕事でいそがしくて、ドラゴンボール自体は2日で仕上げていたという。高橋留美子もそうだ。そういう人達は画面があっさりしている。あっさりしているのに必要なものはちゃんと書かれている。それでいて下手に描き込んでいる漫画よりもずっと見やすくて落ち着く」

友「うん……? うん」

しまるこ「トップブロガーで今ではYoutuberでのイケハヤさんも、この人は1日に3本も4本も記事や動画を生産する。そのやり方としては、その時その瞬間に思ったものだけを書いたり話して、無編集で放り投げている。メンタリストDaigoも同じ手法を取ってるね」

『僕は基本的に環境やスタイルを先に整えてしまうんです。自分がいかに楽に早く効率的にできるか、さっと手をつけてさっと完了させられること、そのシステムを作りさえすれば気が楽なので、どんどん更新が出来るんです』

しまるこ「世の中で大量生産を可能にしている人達は、大体こんな考えでやっている。自分の中で面倒臭いことをはっきりさせて、面倒臭い部分を全て取り除いてしまうんだ。鳥山明も面倒臭いから町をすべて破壊させて荒野にさせたり、スーパーサイヤ人になって頭を金髪にさせてベタ塗りから解放されようとしたんだ。逆に、そういう風に面倒臭さを外していかないと、その仕事量に辟易して自分の方からやめてしまうんだ。これが物事を続けられる人と続けられない人の差なんだ」

しまるこ「例えば俺はブログを350本ぐらい書いてるけど、なんとかこうして続けられているのは楽をしているからなんだ。楽しいからやってるわけじゃない。気楽にできるからやってるだけだ。その時思ったり感じたことを音声入力でメモしておいて、それを後で組み合わせるという方法をとっている。何もない状態から『さぁ、記事を書くぞ!』と思っても、うんうんパソコンの前で唸るだけで書けるもんじゃない。最近じゃキーボードすら叩くのも億劫になってしまった。考えるのも億劫になってしまった。日々の生活の中で頭に降り立った思想を、その瞬間に音声入力でメモしているだけだから苦労がないんだ。そして俺はこうしてお前と電話した後、このお前との会話を大体記事にしている。話した直後だったら、何を話したか全て覚えているから熱が冷めないうちにさっさと書くようにしているんだ」

友「ふーん。マメだね。読まれんの? そんなの」

しまるこ「読まれるように細工するのさ。そして、そんなことを続けた結果、収益が出たらそれにこしたことはないし、収益が発生しなかったとしても大して損はないだろう。大して苦労してないんだから」

友「いやいや、お前は仕事を辞めてそれをやっているわけで、その時間を普通の仕事に費してたらちゃんと給料貰えたはずじゃん」

しまるこ「まぁ、このままろくに稼げなかったらそういうことになるね。だけどお前は違う。お前は働きながらでもできるんだ。まぁ俺もこれだけ楽だと言っているわけだから働きながらできるんだけど(笑)。まぁ、そこらへんはその人の度胸と相談してやればいい」

友「俺はやるんだったら働きながらじゃないとやらないね。ちゃんと成功できる保証があれば別だけど。お前のその理論は危険すぎる。多くのクリエイター達は誰かを楽しませるために身を粉にして創ってるんだと思う。お前は自分の労力を減らして手数を増やすことばかり考えてるけど、人から認められる作品というのは、そんな態度で創れるもんじゃないと思うけどね。実際そんなやり方をしているから全然稼げないんじゃないの? NHKの『プロフェッショナル仕事の流儀』で宮崎駿が『本当に大事なことは面倒くさい、面倒くさいことをやることなんですよ……』って、群衆が複雑に動き回るアニメを作りながら、そんなことを言ってて、なんか胸に刺さったけどな。井上雄彦もバガボンド描くとき、武蔵の表情が見つからないって言って壁に頭叩きつける勢いで悩んでたぜ? 俺はそんな人の作品を見たいけどね。そこまでじゃなくても、創り手の会心の出来だけを味わいたいかな。プロでもなんでもない素人の大量生産したものを見せられるなんて罰ゲーム以外のなんでもないわ。あと、お前はわかんないかもしれないけど、働いてるこっちはそんなにたくさんの作品を見る時間もないからね。ていうか、作品ですらないじゃん。お前のやってるのは。作品ってなんだよ(笑)。女の悪口書いてるだけじゃん(笑)」

しまるこ「わかるよ。だけど、そんな考えでいるから立ち止まってしまうんだ。そんなところをグルグル廻っても結局やらないで終わるだけだろ? 俺もそれでずいぶん時間の無駄をしたし、お前もわかっているはずだ。やらないよりはやった方がいいんだ。可能性の問題だ。どんな問題も『やる』か『やらない』かの2択しかないんだ。『やる』を採った以上は、どれだけ『やる』を継続させるかにシフトして考えるしかないんだ。そうでないと、次々と作品を量産する人間を眺めて終わるだけになってしまう」

友「まぁ、それで稼げるんだったら別にいいと思うけどね」

しまるこ「手塚治虫の一番すごいと思ったところは、小さい頃の画力向上方法だね。この人は漫画を読んだ後、それを見ないで自分で描くという方法をやっていたそうだ。独特の模写法だ。正確には模写じゃないかもしれない。それを繰り返すことで、自分の頭の中で映像を作る能力が出来上がってきて、あまり資料を見ないで頭にあるものを原稿に落とすことができた。速筆の人はみんなそうだ。鳥山明もそうだ。いちいち全てを見なければ描けない漫画家は非常に生産スピードが落ちる。

『これから絵の勉強をする人は、写真ではなく実物をよく観察して自分の家から学校や会社までに目に映る全てのものをなるべく記憶して書けるようにしなさい』

しまるこ「手塚治虫はこう言っている。俺はこの能力が漫画家になる上で一番重要なことだと思った。だからといって、今からそんな能力を身につけようというのは遅すぎる。鳥山明も『何でも描けなければいけません。描けなかったら諦めましょう』と言っている。今お前ができることをやればいいんだ。お前がよく知ってる題材を選べばいい」

友「なんで手塚治虫の話してんだよ。手塚治虫の100分の1でも稼いでから言えよ(笑)」

しまるこ「ブログはボール投げと一緒だよ。いかにフォームを洗練させて力を伝えられる投げ方を確立させることが大事なんだ。多くの人間は、あれが儲かるこれが儲かると左右して慌ただしく、いつも世の中に踊らされてばかりいる。自分が発信すべき内容もよくわかってないまま発信している。違うんだ。あくまで自分の心の内側を探求して、そこから答えを出すんだ。どうやったらもっと速く投げれるかって身体と相談するように、自分の力を邪魔しているものの正体を突き詰めるように、身体の声を確認しながら、一球一球丁寧に投げながらフィードバックを重ねていくんだ。最終的に全ての力の流れをコントロールしてビューンと大きく気持ちよくボールが伸びていけばそれに越したことはないんだ。それが全てなんだ」

しまるこ「ブログを書くということは、そういうことだよ。胸のつかえが取れるような、すーっと自分のエネルギーが消化されていくような、自分自身の内部のエネルギーが文章という媒介を通じてしっかり伸びやかに飛んでいくようなそういう心持ちを信条とするのが創作の正しい態度だよ。あれが儲かる、これが儲かるとか大してどうでもいいんだ。自分のエネルギーが100%になった素晴らしいものを打ち立てられれば、人はそれについてくる。ファンはそれを期待している。やはり体重だよ。作品に体重が乗っていなければならない。運動もすべて体重操作だ。ブログも運動も変わるものではない」

友「だからそれで食べていけんの?」

しまるこ「食べていけるよ」

友「どうやって?」

しまるこ「ふ(笑)」

しまるこ「生活コストを下げて週に2日アルバイトすれば食べていけるよ」

友「またそれか」

しまるこ「最悪、食べなくてもいいんだよ。世の中には『不食』で生きてる人がいるからね。俺もそれを目指している。不食さえ確立してしまえば経済的に困ることは無くなるからね。もちろん不食を本当に確立して、それを証明することができれば世間が放っておかないから、その時点で大金持ちだよ」

友「その話は勘弁して」

しまるこ「わかった」

しまるこ「お前は恵まれてるんだよ。理学療法士の資格があるから週2日訪問リハビリで働けば月給16万円になる。ほとんどの人間はアルバイトしたってせいぜい1日に1万2000円が限度だ。訪問リハビリなら日に2万は稼げる。16万っていったら介護士や保育士が毎日休まずに働いた月給となんにも変わらないんだ。月16万円だったら貯金も出来ちゃう。半永久的な夢追い装置の完成だ。世の中には既に結婚していたり車や家のローンがあったり、奨学金の返済を抱えたりしていて身動きが取れない人だっているんだ。都内で1人暮らしをしていて貯金が5桁しかない人もいるんだ。お前は恵まれているよ。そして、お前はこの不毛な社会の仕組みに気づいている。この気づきは気づける人にしか訪れない。気づけることはチャンスなんだ。ほとんどの人は自分が搾取されていることに気づかない」

友達「でも、気付いているからこそ苦しんでいるような気もするけど」

しまるこ「いつだってチャンスはピンチの裏側にあるんだ」

友「…………」

しまるこ「やっぱりすぐに見返りを求めてしまうのが良くないね。時給労働に慣れてしまって1時間働いたから1時間分の報酬が貰えないと満足できない体になってしまっている。時給脳だね。見返りは時間ではなく成果の対価でなければならない。いや、見返りはその行為自体にあるよ。ボール投げも思いっきり投げて自分の意図した運動と結果が得られれば気持ちいいだろ? 下手くそな投げ方だったら、いつまでたっても気持ちよくならないように、うまくできればそれだけで気持ちがいいもんだ。だから創作自体に見返りが含まれている。そう考えるしかないね。だから週2日だけ働きながら残りの5日はそんな風に過ごせばいいんだ。きっと楽しいよ。ダメだったらそのまま死ねばいいし、成功したら何の問題もないわけだ。例え成功しなくても好きなことをやり続けられることは幸せなことだよ。今のまま病院に勤めて結婚しても悩み続けることは確定しているんだから、こっちに来た方がいいよ。お前の言う見返りの切符くらいは用意されてるからね。そうすれば今お前が抱えてる悩みはなくなるよ。っていうかさ、訪問リハビリを週2日やれば月給16万円になるんだから、残りの5日は寝たり好きなことをやってればいいんだからこんな贅沢な話はないと思うんだけど(笑)」

33歳の俺が最近できた19歳の彼女を題材にして愛について本気出して考えてみた 5

 さて、付き合って1ヶ月も経たないのにもう別れの予感が訪れている。
 メンヘラというのは一見容易いように見えるかもしれないが、メンテナンスを怠るとすぐに他の男に目移りしてしまう。全くLINEなんてものがあるせいで毎日連絡を取り合わなければならなくなり、少しそれを怠るだけで簡単に終わってしまう。いい迷惑だ。しかし女の浮気は男の色んな味覚を楽しみたい浮気と違って、心の温床を求めて彷徨う依存だから、タチが悪い。
 最近はほとんどLINEをしていない。彼女は誰かとLINEしていなければ生きていられない人間だから、俺とLINEしていない時は別の誰かとLINEしているのは確かだ。しかし、良い事だと思う。交際とはそういうことだ。別に結婚している訳じゃないんだから好きな男と好きなことをすればいい。交際は結婚前のお試し期間なのだから、たくさんの男と出会って、その中から一番を選べばいい。女からすると、俺のこの態度は優しさとは言わないらしい。「強引にでも連れ去ってよ!」と思うらしい。好きな男の髪型は「ピンクの坊主」と言っていたから、今頃ピンクの坊主とLINEしているのかもしれない。
 出会い系とは結局パイの取り合いだ。確かに出会えるし恋人もセフレも作ることができるが、選択肢が多い分、ひとつひとつの出会いは軽薄だ。スーパーに行けば何でも売ってるのと同じで、食べたいときに食べたいものが食べられる。食べ物も情報も出会いも飽和している。出会い系をやれば10年間恋人ができなかった人間でさえ性器が乾く間もないほど忙しくなることもある(特に女は)。
 人間はやはり自分と同じ匂いのする人間と仲良くなっていく。例えば学校の始業式で仲良くなった奴と最初の1ヶ月ぐらいは絡むようになるけど、だんだんその友達の友達というように新しく出てきたクラスメイトと引き合うようになっていき、夏休みに入る頃には始業式で仲良くなった奴とは口もきかないようになっている。
 出会い系も同じようなもんだ。たとえ出会い系の1人と付き合ったとしても同時並行でいろんな人と交流していって、最終的に自分に一番近い匂いをする人間を選ぶ。俺も俺の周りの友達も、彼女がいるのにそんなことをしている。もちろん女も同じことをしている。これが出会い系の真実だ。我々の欲求と恐れはとどまることを知らない。できるだけ多くの選択肢から十分に検討して答えを出そうとするのが現代人の病だ。
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 事実、俺の彼女もそれをやっていた。「今度、しまるこくんの部屋にあたしが小さい頃から大切にしているぬいぐるみ持ってくね!」と言っておきながら、ペアーズを開いて『慎吾』と書かれている男とやり取りしているのが見えたことがある。慎吾って誰だよ(笑)。香取慎吾か?(笑)
 しかし、これを非難できる俺ではない。俺も同じことをしているからである(笑)。現在、数人の女とやり取りしている(笑)。どっちもどっちだ。結局出会い系はクソしかやらない。こういうところが出会い系のクソなところだ。選択肢が多すぎるとかえってこういう不幸をもたらす。どこまでも疑心暗鬼が漂い、ろくに安心もできず恋愛の旨味が味わえない。どこまでいっても信用されないし信用できない。まぁ、出会い系がクソなのか、俺たちがクソなのか、答えは明らかだが。
 一つ悔しいのは、負けたということだ。そこらの馬の骨に負けた。いつも霊的修行を通じて一段一段と真理の階段を上がっていると思っていたら、どこぞやのぽっと出の馬の骨に彼女を掻っ攫われてしまった。とんだマヌケ野郎である。どうせその男はピンク坊主の慎吾だかなんだか知らないが、俺の昇ってる階段の一段目にすら昇れず、ずっと地べたをハイハイしている赤ん坊に過ぎないだろうが、そんな男に取られてしまったのはとても悲しい。
 いいよ。これだけ努力してきた俺よりもピンクの坊主がいいというなら、そっちにいけよ。俺はこれだけの人間なんだから俺が選ばれないのはおかしい。たった1回でも俺に出会ったなら、俺の天才的な魅力に恍惚して目がハートになって、四六時中俺のこと考えてなきゃおかしい。
 そんな過信が、こうやって待ちの姿勢を構えてしまうのだと思う。案外受け身の人の多くはこういう心理が働いているんじゃないだろうか? 自信がないから受け身なのではなくて、自信があるから受け身なのでは? 自信というより自惚れた自己愛というべきか。
 こういう思いを全て吹き飛ばして、
「そんなの関係ねぇ! そんなの関係ねぇ! 運命なんて関係ねぇ! いいから俺んとこ来いよ! オッパッピー!」と強引に抱き寄せてしまうのが一番いいことはわかっている。

 黒田勘兵衛が「戦いは考え過ぎては勝機を逸する。たとえ草履と下駄を履き違えても直ぐに駆け出すほどの決断が大切だ」と言っていた。天才軍師ですらそんなことを言っていたのだ。運命がどうこう言ってないで慌てて走り出さなければいけないその時では?
 そんなに俺に魅力がないのか? こんなに色々考えたり頑張ってきたのにダメなのか? そしてこの努力がかえって悪い方向に向かっている気がする。精神主義をやめて、物質主義になって一緒に美味いものをたらふく食べて、高いベッドを買ってセックスして、一緒に欲望の海に溺れていく方がいいのか? 俺が1歩1歩進むほど女と離れていくような気がする。同じ場所で同じものを楽しめないカップルは長くないだろう。
 そういえば昔付き合ってた人に「あなたと付き合っていても何もメリットがない」と言われたことがある。あれほど傷ついたことはない。俺以上の天才がどこにいると思ってんだよ! こんな頭がよくて面白いヤツいねーだろ! お前が面白くなくてもいいけど、せめて俺の良さくらいわかれ! 中田敦彦の『PerfectHuman』見て爆笑してたよなお前!? クソったれが……!

 彼女はよく抱きついてきたり手を繋いできたり肩にもたれかかったりしてきたけど、俺はその気持ちの正体を知っている。人間には抱きつきたくなる時があるだけだ。俺に抱きつきたいわけじゃない。男に抱きつきたいんだ。ぬいぐるみに抱きつきたいんだ。俺も彼女じゃなくて女に抱きつきたいのだ。愛や恋ではなく姿勢の問題だ。
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 ここで無様に吠えているのが真実の俺の姿だと思っている。もし、女にこの記事を読ませて『この記事のライターと付き合いたいと思いますか?』というアンケートをとったら、100人に1人も付き合いたいという女はいないだろう。そういうことだ。俺の努力は裏目に出るのだ。俺の真の姿は嫌われるのだ。彼女は100人に1人だったかというとそうではない。あまりにも馬鹿で鈍感だから、俺が別の世界の人間だということに気づかなかっただけだ。だから、幸か不幸か曲がりなりにも一時的にこうして付き合った。
 しかし、俺よりずっと彼女に近い男が存在する。彼女はあまりにもまだ19歳で人間というものが分かってないから、俺よりもその男の方が自分に適しているとか、そういう計算が働かない。計算は働かないが、本能は働く。
 食べたり飲んだり騒いだり歌ったり、EXILEやら倖田來未やらを楽しみとしている人間と俺が相容れるはずがない。やはり人間は同じ属性の者同士が引き合う。確かに頭のいい男やモテる男は、いろんなテクニックや小賢しい真似をして頭の悪い女を引っ掛けて、一時的には親密度を深めることができるけど、いずれメッキは剥がれてしまう。宇宙に浮かぶ星々がものすごいスピードで走り回っているのに決してぶつかり合わないように、すべては神の計算が働いている。あるべきところに収まるのだ。彼女には彼女に適した人間がいる。そして俺にも俺に適した人間がいる。あるべき場所に収まろうとしているだけだ。
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 だけど、楽しかった(まだ終わったわけじゃないけどw)。ここにきて1年が経ち、ずっと1人でひっそり暮らしていたから新鮮だった。
 そして、あろうことか彼女の座る場所を用意するために3万円のソファーまで買ってしまった。なんだかんだいって、ただの貢ぎ野郎だ。結局偉そうなこと言ったってキャバ嬢に貢いでるエロ親父と変わらない。金が無いぶん俺の方がタチが悪い。
 いったって、恋愛なんてものは脳の信号なんだ。セックスだってそう。脳に特殊な電気が走って快楽を感じるだけだ。そんなに有難がって拝むものでもない。真理を追求するものだったら、そんな下卑た快楽に支配されていてはならない。
 俺は何のためにここにいるかもう一度考え直した方がいい。会社を辞めて実家を飛び出して、家賃3万の糞アパートに住んで、ここで何をすべきかもう一度考え直した方がいい。真理を追求している時点で凡人じゃないんだ。歌って踊って飲んで寝ている馬の骨と違うんだ。人間精神の奥底を切り開いて、そこから持ち帰ったもので創作する。シェイクスピアになるんだ。

 おそらく俺より気の長い男がいて、彼女からひっきりなしに送られるLINEと向かい合ったり、毎晩の長電話に耐えられる頑丈な男がいたのだ。いや、耐えるどころかそれを楽しめる男がいる。それが相性だ。運命だ。そんな男に俺は敵わない。
 メンヘラは大きな受け皿を求めている。「あたし、たくさん構ってもらわなきゃ満足できないよ?」「やめるなら今のうちだよ?」と言われたことがある。多くの女にこういう要素があるけども、彼女は何倍もそれが強かった。俺はそういう人間の対応策を知っていたから、もっと彼女を受け入れる気持ちがあれば、あるいはこっちからLINEを送ったり電話をしたり、いくらでもやりようがあることはわかっていたけど、それをしなかった。
 それは俺と彼女の運命にかけてみたかったのか? 何もしないでいたら滅びてしまうのか? 何かしなければダメなのか? そんなにいちいち努力しなければ続かない関係なのか? そう思うと寂しくなってしまって、運命とやらに賭けてみたくなってしまったのか? 俺はいつもこんな勝負に出る。そしていつも負ける。33歳になってもこんな勝負をしている。
「彼女と俺は元々が違う人間だから仕方ない。こういう運命だったんだ」と一番傷つかない決断を自分に言い聞かしているところに彼女からLINEがきたら、嬉しくなって飛び上がってしまう。運命が聞いて呆れる。結局は運命でもなんでもなくて、俺自身が素直になれないから、いつも拗ねて相手に任せっきりで自分で何も行動を起こさないから恋愛が長続きしないのか……? 周りは結婚していって、子供の給食費がどうだのこうだの言っている。俺だけいつまでも時間が止まっている。
 愛や恋について考えるのは、好きだから考えてしまうんだろうけど、それでも自分の意思でコントロールして考えたり考えなかったりするわけじゃない。考え過ぎて胃もたれすることもある。そういうとき、こんな毎日がこれからもずっと続くようだったら死んだ方がマシだと思うこともある。
 このブログの更新が長く途絶えると、自殺したんじゃないかと読者から心配されるメッセージが届くことがあって笑ってしまう。死にたいとか自殺をほのめかした文章はこれまで書いた覚えはなかったのに、俺は自殺しそうな危うさがある人間と思われていることに笑ってしまった。
 少なくとも真理を追求して生きている以上、自殺なんて結末に向かいたくはないが、うちの家系のほとんどは大腸ガンか自殺のどちらかで死んでいる。自分でもその血が流れているのを感じる。
 しかし、こんなにイケメンでスタイルが良くて、運動神経抜群で、脱力して体重シフトする体技を確立させて、ジャブ一つで相手を吹っ飛ばすことができて、頭が良くてギャグセンスが良くて、目の前の事柄から真実を見出すことができて、字も達筆で、絵のセンスも独特で、神韻縹渺なる宇宙の叡智にアクセスすることができる人間が死ぬのは惜しいものだ。しかし、太宰も芥川もあんなに素晴らしい文章をかけているのに自殺してしまった。ゴッホもあんなに素晴らしい絵が描けたのに自殺してしまった。自分で自分の価値は分かっていたはずだろうに。芥川の奥さんは芥川が死んだ時「お父さん、よかったね」といったそうだけど、りんちゃんはどうだろう。俺が死んだら悲しむだろうか? 
 ひとつ言えることは、悩んで辛いから死にたいわけではないということだ。お腹いっぱいだから死にたいのである。もう十分だから死にたいのだ。もうこれ以上考えたり思考の連鎖に付き合うのに飽きた。それでも向こうから勝手に押し寄せてくるから付き合うしかない。そんな思考の洪水に付き合うのが面倒臭いから死にたくなる。絶望も闇もとっくに通り過ぎている。朝が来ないで欲しいだけだ。そのまま眠っていたいだけだ。

 まぁ、好きにすればいいさ。

「週に2日だけ働いて6万円以内で生活する」に友達が興味持ってるけど踏み出せない件

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友「最近上司から『主任にならないか?』って話が出てるんだけど、どうしようか迷ってるんだよね。確かに手当はついて多少給料は上がるけど、その分部下の管理や残業も増えるし、割に合わないんだよね。多くの人が主任になりたくないから話を蹴って俺の方に回ってきているだけだし、俺の働きが評価されている訳でもないんだよね」

しまるこ「うん」

友「本当に毎日毎日自分が何をやってるのかわかんなくなってくるわ。今日も部下を叱ったけど、その部下の働きを正したところで、将来AIに今俺らがやっている仕事なんて取って代わられちゃうんでしょ? 叱る意味も、働いてる意味すらもあるんだかなんだかわかんなくなってくるわぁ」

しまるこ「本当によくやってるよ。お前もみんなも」

友「俺もさ、お前みたいに仕事やめて全てを投げ出して、週に1回だけ働くスタイルにしたいなと思う時もあるけどさ、迷うなぁ……。ただ、ボーナス貰える時は、今の仕事をやってて良かったなぁと思う」

しまるこ「うん」

友「金だよなぁ。金さえあったら今すぐ仕事辞めて好きなことやって生きれるんだけどなぁ。金欲しいわぁ……。欲しいけど、今の仕事続けても一生無理だろうなぁ……」

しまるこ「別に金がなくても好きなことやって生きれるよ」

友「どうやって?」

しまるこ「週に2日だけ働けばいいんだよ(俺は1日だけど)。そうすれば月に6万位は稼げるはず。月に6万円以内に生活コストを抑えてしまえば、あとの残りの5日は好きなことをやって生きれるようになるよ」

友「俺は月に6万円以下に抑えられる自信ないわ」

しまるこ「実家暮らしなら簡単だけど、まぁ週に2日しか働かないスタイルで実家暮らしは無理だろうね。残りの5日のダラダラしているところを注意してこない親がいないはずないからね。事実上、絶対に1人暮らしすることになるから生活コストはかえって高くなるかもしれない」

友「じゃあ、無理じゃん」

しまるこ「家賃を3万円以下にすればいいんだよ。それで食費を3千円ぐらいにする。それぐらい守っていればあとはどうってことない。適当にしていても早々月6万を超えたりはしない。まぁ、そうはいっても俺はここ最近は8万やら9万円とかの出費になっちゃっているけどね。たまに貯金を切り崩さなければいけない羽目になるけど、まぁそれでも大丈夫でしょう。お前も長いこと実家暮らしでサラリーマンやってきてるんだから、それなりの貯金もあるわけだし、貯金がほとんどない人間だったら、俺はまず貯めてからをオススメするけど、貯金があるお前が迷う理由は俺にはわからないな」

友「でも、車の維持費とかもかかるわけだぜ?」

しまるこ「まぁ、多少は赤字が続くことはあるだろうね。2年か3年か。まぁいいじゃん。月に3万円赤字が続いたとしても、それで200万円か300万円の出費で3年4年過ごせたら十分じゃん」

友「いやいや、毎月貯金が目減りしていくんだろ? ちょっとそれは耐えられねーわ」

しまるこ「好きなことをやって生きる代償だと思えばいいんだよ。そうだからといって週2日を3日に延ばすのはオススメしない。やはり週2日ぐらいがちょうどいいと思う。3日働くと疲れちゃうね。やっぱり自分の仕事を優先すべきだ。みんな偉いよ、でも働きすぎだ。偉いんだけど働きすぎだと思う」

友「……」

しまるこ「もう世の中はそんな仕事スタイルが定着しつつある。フリーで仕事する人も増えてきているし、ブログやYouTubeで稼いで生きる人も増えてきてる。もう週5日も一生懸命会社のために奴隷になる時代は終わってるよ」

友「じゃあ、お前はそのフリーで成功してるの?」

しまるこ「月に6万円だけ稼いで6万円以内で過ごすという目標を立てて、その目標に対してならそれなりに成功している。たまに3万か4万ぐらいの赤字を出しちゃう時あるけど」

友「いや、それじゃ説得力ねーわ。少なくてもサラリーマンの平均月収ぐらいは稼いでくれないとこっちも聞く気になれないわ」

しまるこ「そうか」

しまるこ「でも、今、お前、働いてる病院で昇進する気もないのにずっと働いてても、そんなのアルバイトと変わんねぇじゃねえか。だったらいっそ辞めてしまって本当に週2日のアルバイトにしちゃった方がいいと思うよ。その方が毎日楽しいと思うよ」

友「それじゃ結婚できないじゃん」

しまるこ「もし結婚したい相手と巡り会って、本気でその人と結婚したいと思ったら、その時就職すればいいんだよ。お前は元々手に職もあるんだから、いざ働こうと思えばいつだって正社員に就けるんだからそれでいいんだよ。それまでお休みしてればいい」

友「確かに週休5日は嬉しいけど、でも自由すぎて鬱になっちゃいそうっていうか、頭おかしくなっちゃいそうなんだよなぁ」

しまるこ「まぁ、何かやるべきことが明確になっていないと時間を持て余しすぎて鬱になるだろうね、漫画やゲームもなかなか楽しめるもんじゃないよ」

友「でしょ? それが分かりきってるから、できないのかもなぁ」

しまるこ「何でもやりたいことやればいいんだよ」

友「節約生活の中ででしょ? 金がないのに自由にやりたいこともできないだろ」

しまるこ「どうかな。消費して遊ぶことばかり考えていると金がなきゃできないけど、自分が生産する気持ちで何か商品を生み出すつもりで頑張れば、そこにあんまり金はかかんないと思うけど」

友「例えば?」

しまるこ「文章や漫画を書いたり、動画を撮ったり、アプリの開発だったり……?」

友「どれもできる気がしないわ」

しまるこ「そうか」

しまるこ「まぁ、特にやることが明確になかったとしても、とりあえず辞めてしまうのが吉だと思うけどね。時間を持て余して週に5日も休みがあれば、何か暇だからやってみようという気になって、今まで上がらなかった腰も上がるようになるかもしれない。上がらなかったら上がらないでそれもよし。どっちにしろ辞めたとしてもリスクなんてないんだから辞めてしまえばいいんだよ。お金を稼ぐ必要に迫られたらまた働けばいいんだよ」

友「楽観的だなぁ」

しまるこ「人生は自分のやりたいことを実現するために用意された時間なんだから、優先順位を間違えてはいけない。みんなお金を稼ぎたいから働くんじゃなくて他人の目が怖いから働くんだよ。それが悪い。いっそすべてを捨てて田舎に引きこもって1人で安いマンションに住んでいれば、他人の目なんて全く気になんないけどね」

友「でも、お前いつもキャベツと豆腐のサラダばっか食べてんでしょ? 俺それは無理だわ。肉食いたくなるもん」

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しまるこ「意外に美味しいし生きれるもんだよ。なんでも慣れて克服しようという精神がなければ、どんな問題も解決できずに今の状態が続くだけだよ」

友「そりゃそうだけど、食べ物ぐらいは好きなもん食べたいわ」

しまるこ「曲がりなりにも理学療法士だったらそんなことは口にするもんじゃない。それに食べ物の制限よりも働いて自分の時間が奪われる苦痛の方が遥かに大きいことは確かだろ」

友「まぁ」

しまるこ「別にいいと思うんだよ。週2日で働いて、死ぬまでずっと週2日で働いて、結婚もできず家族や親戚からも白い目で見られて、1人でずっと臭いアパートで暮らして孤独死しても良いと思うんだよ。週5日も他人の仕事の手伝いして、働く意義も何も見出せないまま死んでいくよりかはずっといいと思うんだ。自分の人生が失敗作だとしても自分がそれをよしとしているなら何も問題はないんだ。例え可愛い奥さんや子供に恵まれたとしても、1日の仕事時間っていったいどれほどだよ? 8時間だったり10時間だったりめちゃくちゃ長いわけで、その時間を死に体と割り切ってしまうのは33歳にはあまりにも早計だと思うんだ。実際割り切れないからこうしてお前は悩んでいる。死んだっていいんだ。そのまま溝の中で前のめりで死ね」

友「死にたくねーよ(笑)」

しまるこ「今だって死んでるのと変わんねーだろ」

友「…………」

友「かっこいいこと言ってるけど、お前はそれできてんの?」

しまるこ「今日も一日中寝てた」

友「チッ……、じゃあ言われたくねーよ」

しまるこ「結局どこで何をしたって結婚したって無理なもんは無理なんだ。割り切れるもんじゃないよ。子供がテストで満点取って帰ってきたとしても割り切れるもんじゃない。根本的な問題が解決されなきゃ一生苦しみ続けることになる。その状態で結婚するというのは家族を巻き込むことになるんだ。例えお金が手に入って充分な暮らしを提供できたとしても、お前が浮かない顔をしてたら家族も不幸になる。自分の問題が解決しないうちに結婚する人間は本当に不幸だと思うね。ストレスが溜まる毎日で、それを家族にぶつけずにはいられなくなるし、毎朝怠そうな顔して会社に行く夫ほど残念なものはないからね」

友「世の中では嫌々仕事しながら家族を支えるために頑張ってるお父さんはたくさんいると思うけど、その人達全員ダメなの?」

しまるこ「ダメだね。もっと言えば、ローンで家を買う人間はもっとダメだね。一括で家を買えるようにならない以上は結婚は絶対すべきではないね。もし自分のやるべきことが明確になって、その道に一生懸命励んでいたら、一括で家を買えるぐらいの金は絶対に手にしているはずだから。だから、それまでは週2日でアルバイトして節制して生きて、自分のビジネスを成功させるべきだね。多くの夫婦が離婚したり喧嘩が絶えないのはそこにあるよ。夫婦共働きで、どっちが家事をやるかやらないかと言い争いが絶えなくなってしまうからだよ。奥さんを専業主婦にさせてあげられないから離婚するんだ」

友「……」

しまるこ「一夫多妻制のほうがいいぐらいだよ。その方が国はちゃんと廻る。そして女も幸せになれる。年収300万円の男と結婚するよりイチローの18人目の奥さんになる方がいいだろ? 俺が女だったらそっちの方がいい。実際にこの国だってそういう歴史があったんだ。大奥ってそういうことだろ? 倫理に邪魔されなかった時代にしか正解はないのかもしれない。変に倫理が働き過ぎるから廻るもんも廻らなくなるんだ。やはり金だ。金がないうちは結婚すべきじゃない。不幸が連鎖するだけだ。しかし金といっても、嫌な仕事を嫌々やって金持ちになってる間は結婚すべきではないね。そういう人間はいつもイライラして人にあたってしまう。仕事が大好きで自分自身だと思える仕事を見つけて精進して金持ちになって、4000万の家を一括で買えるようになったら結婚してもいい。そういう男だけが結婚する資格がある」

友「理想で言えばそうかもしれないけど、実際に4000万の家を一括で買える男なんてそうそういないぜ? ほとんどの男も女も独身で終わるぜ? それに20代のカップルはどうなるの? みんな結婚できないじゃん」

しまるこ「他人のことはいい。俺はお前に言ってるんだ。この理屈だとお前は結婚できないんだ。今の病院でひたすら働いても金は貯まんないし仕事のやりがいも見出せないし家を4000万円で一括で買えるようにならないから、結局どう転んだって結婚する資格が手に入らないんだから、結婚の心配は不要というわけだ。だからさっさと退職しちゃっていいってことだよ」

友「辞めても結婚から余計離れるだけだと思うけどなぁ」

しまるこ「どっちの方がいい病院で働いてるかとか、どっちの方が給料が高いかとか、働いてるか働いてないかということさえ、奴隷の鎖自慢さ」

「背筋がシャンとしてれば絶対に病気にならない!?」姿勢をしっかりさせるためにどうすべきか友達と議論した

友「今、仕事の一環で地域の公民館に行って、70代80代のお年寄りに健康体操をやっているんだけど、ちっとも良くなっていかないね。まぁ、これは運動習慣を身につけようという話で、治療ではなく予防なんだけど、運動のプログラムも既に決められているから、俺がどうにかできる話ではないんだけど」

しまるこ「うん」

友「見ていると、背筋がシャンとしている人はみんな病気にならないね。頭もはっきりしてる。若い人でも背筋がちょっと曲がってる人がいるけど、ああいう人は年を取ったらヒドイことになるんだろうなぁ……。一つ膝を悪くすれば他の部分も曲がってくるし、内蔵も圧迫されて内科的な疾患も併発するようになるから、膝も要注意だね」

しまるこ「確かに背筋さえシャンとしてれば大丈夫だと思う。昔は病は背筋さえしっかりしてれば大丈夫と言われてたらしいね。感覚的にも理学療法的にも、正しいと思わざるをえないね」

友「鍵は背筋にあると分かっても、それをどういう風に正していけばいいんだろう? いつも背筋を伸ばしてくださいと言うしかないかな? 背筋のトレーニング?」

しまるこ「予防健康医学の大家の西勝造先生がいうには、硬い床の上で寝るといいらしい。少し抜粋して読み上げるよ。

『平床は、重力に対して、もっとも安定した平面であるため、これで休むと全身の筋肉が弛緩し、安静に休息をとることができます。また、直立したために脊柱の前後左右に生じた不整歪曲が、平面に就寝することによって体重で矯正されます。
 やわらかな布団やマットレスでは、部分的相違によって変形し、脊柱が一直線にならないため直立歩行のズレを矯正することができません。
 平床はその硬さによって皮膚と肝臓に刺激を与え、鈍化を防ぎます。皮膚の表層にある静脈を鼓舞し、血液の岐路循環が活発になることで、腎臓の機能もよくなり、昼間の勝王によって生じた老廃物の処理効率があがります』

しまるこ「俺はなかなかこれが続かなくて、背中が痛くなっちゃって挫折した。2週間ぐらいやってれば慣れてくるらしいんだけど、それまで耐えられなかった。だからあまり偉そうなことは言えない。今日お前と話したことでもう一回チャレンジする意欲が湧いてきたけど」

友「いやいや、おじいちゃんお婆ちゃんだよ? そんなことしたら褥瘡になっちゃうよ。腰が悪い人は固めのマットレスの方がいいとはいうけどね。お前のは古い理論でしょ? 今は高反発のしっかりしたマットレスか売ってるんだからそれ使った方がいいだろ。床は固すぎるでしょ。お前の言うやつは健康な人向けの話だね」

しまるこ「まあ、俺自身が挫折してしまったから、この点に関しては何も言えないわ」

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しまるこ「人間の体を物質的な側面からなんとかしようと思うのは半分正しいけど、半分間違いだと思う。いつもどういう風に運動したらいいか、どういう姿勢でいたらいいか、本当にわからない人はわからないようだね。確かに難しいといえば難しい。簡単といえば簡単なんだけど……」

友「うん? うん」

しまるこ「俺はこの辺りはボクシングをやるようになってからわかるようになってきた。1回1回自分の身体の動きを考察する癖をつけてから、全く運動に関して迷いはなくなった。それまでは俺も運動音痴だったし、いつもジタバタ動くことしかできなかった人間だから、その人達の気持ちもわかるんだけど、結局は自分の身体の声を聴くしかない。それが聴こえれば飛躍的に運動神経はよくなるし、自分の身体の動かし方というものがわかってくる。そうなれば身体に関する一切の心配はなくなる。武井荘なんかよく語っているね。彼は脊髄の疾患を患って入院したとき、医者からもうスポーツ選手としては再起不能といわれたらしいけど、頭の中で細胞を再構築するイメージを何度も繰り返した結果、本当に治してしまったらしいね。そういう話は色んなところで聞く。室伏広治も神経のトレーニングを通じて背骨の一本一本を動かせるようになったらしいね。だから背骨はさ、神経や脳の問題だと俺は思うんだな」

友「ふーん」

しまるこ「結局のところ運動神経なんだよ。自分で自分の身体の声が聴こえないから、メンテナンスができないから、披露が蓄積されていってしまう。少し違和感を覚えたら、そのときにストレッチしたり歩いたり伸びをすればいいだけの話なんだけど、そういう感覚がわからず、いつもバタバタしているから疲労が蓄積されてしまう。そしてそういう人は他人頼みだ。自分よりプロを信じてしまう。接骨院に行けば何とかなると思って行くけど、お金もかかるし、めんどくさくなって続かない。これは他人がどうこう出来る問題じゃないんだ。俺たちは理学療法士だけど結局何もできない。ただ指導するしかできない。本人に何とかしてもらうしかないね」

友「そりゃそうだろ。今更だな」

しまるこ「最近、彼女とオムライス食べに行くことになって、近いからそこまで走っていこうということになって走ったけど、彼女は100メートルもしないうちに、もう疲れたと言って息を切らしてハァハァ言って歩きだしたけど、俺は久々に走るという行為をしたけど全く疲れることはなかった。それは走り方というのを心得ていて、手足に全く力を入れず体幹を前に推進して押し出すようにして脱力して走る方法をしっていたからなんだ。そうすれば全く疲れずに走ることができる。今から5キロ走れと言われても、俺は普段全く走る習慣がなくても5キロなんて簡単に走れてしまう。この辺りは食生活の恩恵も多いけどね。だけど、この力を抜いて体幹を前に押し出す動作は簡単だけど難しい。特に脱力というのは本当に難しい。運動が苦手な人は脱力ができないから苦手なんだ。脱力というより頭や心の中がごちゃごちゃしてうるさくて、それが身体や動きに表れてしまうんだ。本当に何もない宙に浮いているような、今こうして話しているようなリラックスして何もない状態のまま運動に移行するということができない。どうしても運動というとジタバタしたり構えてしまう。日常から遠いところにあると思ってしまう。5キロ走ることも椅子に座ってコーヒーを飲むことも変わるものではないよ。そこで俺はいつも思うんだ。結局答えはここにしかない。自分で心を静かにして運動の心得というものと一体化するしかない。自分の感覚で掴むしかないから、理学療法士なんて仕事は詐欺まがいでしかないとね」

友「うーん、まぁわかんない人は絶対わかんないだろうね」

しまるこ「俺はボール投げをオススメする。基本的にうまくボールを投げれるかどうかがその人の運動神経を測る指針になる。舞台のオーディションで殺陣のキャストを抜擢する際に、できれば元々の運動神経がいい人を見極めたいから、そういう時はボール投げをやらせるらしい。ボールの投げ方が下手くそな人は殺陣も下手らしいし、どんな運動しても下手らしい」

友「へぇ……」

しまるこ「俺はその話を聞いたとき、ボールを投げるという動作をもう一度、よく噛み砕いて一から勉強したくなって、利き手ではない左手でも右手のように思いっきり投げれるようにしてやろうと思って練習したことがある。ここらへんはやはり俺の勤勉なところだね。野球選手でもないのにこんなことをしようとするのは俺くらいだろう。最初はびっくりするぐらい前にボールが飛ばなかったけど、とにかくひとつひとつ自分の心や身体の声に耳を傾けて、1回1回すべての運動を細分化してり、題材を大きくひとまとめに扱ったり、色んな角度から丁寧に練習していたら、その日のうちにしっかり投げれるようになったよ。ほぼ右手で投げるのと変わらないぐらいになった。自転車と一緒で一回覚えてしまえば二度と忘れない。たまに左で投げるけど、やっぱり投げれてしまう」

友「絶対嘘だろ(笑)」

しまるこ「みんなこういう姿勢が欠けているね。世の中の瑣末な情報に踊らされて、自分の内なる案内人の存在に気づかない。答えはいつだって自分の中にあるんだ。それに気づくかどうかだけの話なんだけど、なかなかそういう考えには至らない。そしてそういう考えに運よく出会っても、そう簡単に目覚めるわけでも根付くものでもない。だから本当に困ってる。俺自身は答えを知っていて、問答無用で完璧な答えを知っているのに、それを人に授けられない歯がゆさといったらない」

友「ふーん」

しまるこ「基本的にはボール投げでいいと思う。右でも左でも思いっきりボールを脱力して投げれるようになれば問題ない。それさえできるなら病気に悩まされることはない。一生の間で背筋が曲がることはないだろうね。左右両方でしっかり投げれるようになる頃には、運動神経が飛躍的に良くなり、自分の身体の発するメッセージの存在に気づけるようになっているはずだからね」

友「そうなんだ(笑)」

しまるこ「バガボンドの井上先生もずっとこんなことを書いているよね。あの漫画はこの話をずっと言っているといっても過言ではないと思う。井上雄彦は絶対に体が悪くなったりしないよ。漫画を描き過ぎて一時的に腰痛になったとしても、すぐに取り戻してしまうよ。あの人は自分の身体の声を非常に丁寧に聴き取ることができるし、剣を振ったり、バスケをしたり、そこから得た体動感覚を漫画に落とし込んでいるから、普段のちょっとした歩きの中でも1回1回自分の身体の声を聴いている人だから、身体が悪くなることはないんだ」

友「まるで井上先生と友達のように話すんだな。お前は」

しまるこ「へへ」

友「井上先生も、漫画を描けば描くほど身体が悪くなっていくと思うけどな。冨樫先生だって今それで漫画描けないんだろ」

しまるこ「冨樫は素晴らしい漫画家だけど、その面においては勉強不足であったと言わざるを得ないね。画力と運動神経は密接な関係があるから、画力で井上雄彦に負けている点もそこからきているんだろう。もし冨樫が井上雄彦のように自分の身体の声と格闘する習慣があったなら、身体を悪くすることはなかった。もし井上雄彦が手塚治虫のようにびっしり漫画を描く生活を送ったとしても、俺は絶対、井上雄彦は体を悪くしないと思う。俺自身が死ぬまで絶対身体が悪くならないことが確信できるように、あの人も悪くならないのが確信できる。別にたいして運動なんてしなくたっていいんだよ。ただ心の中にそういう一つの筋という柱というかそういうものが確立されていれば、あとはそんなに努力しなくたっていい。急に5キロ走れと言われても簡単に走れてしまう。すでに心の中に運動の確かな法則が確立されてしまった人間は運動の習慣すら必要なくなる。問題は、だから、人にこれをどう伝えるかそれだけなんだ」

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しまるこ「昔の剣術道場なんかだと、決して剣の理屈を教えなかったらしい。ただひたすらボコボコに叩きまくっただけらしい。これは別にもったいぶったり意地悪をしているわけではなくて、これが最短だと考えられていたんだ。今の人はとにかく何でも口で教えてもらいたがるし教えたがる。口や頭で何でも理解しようとする。俺はそれが返って理解を遠ざけると思うんだ。ひたすら無心で左手でボール投げてればいいんだ。真理は伝えられるものではない。口や頭で理解できるものではない。一番いいのは、ただ、真理を知っている人とつながって一緒に過ごすだけだと思う」

しまるこ「だから俺は彼女の運動神経を良くするために一緒に彼女と過ごすだけでいいと思ってるんだ。俺自身の運動神経を拡大して、それで彼女を包み込むようになって、俺の目から発射される光線によって彼女の運動神経を良くしてあげたいと思ってるんだ。馬鹿げてると思うかもしれないけど、俺はそういう人が歴史上に何人か存在していたことを知っている」

友「そんなこと考えずに普通に楽しく彼女と運動したらいいと思うけど」

しまるこ「それは不毛だね。同じところをぐるぐる回るだけだ。ただ遊ぶように運動して楽しかった、はいおしまいじゃ、彼女のためにならない。運動の楽しみを知らずに人生を終えてしまうだろう。本当の運動の楽しみは真理の中にある。真理に基づいた運動は疲れないし健康に良くて最高に楽しいものだ。週末にちょこっと運動する快感なんかとは比べ物にならない。そして、この運動の心得は俺や彼女だけではなく、すべての人間が辿りつかなければならない境地なんだ。武井壮や室伏浩二みたいなアスリートだけが履修する課題ではない。健康で文化的な生活を命のギリギリまで続けるために、誰もが避けて通れないものなんだ」

友「無理な人は無理だろ」

しまるこ「ゲーテは80代後半になっても、周囲がびっくりするほど背筋がシャンとしてたらしい。ゲーテの弟子が残した文献に記録が残っているね。その背中には周りの人達もよく驚かされたらしい。俺はゲーテは決して運動マニアではなかったと思う。トレーニングを積んでたわけではないと思う。ただ、世の中の真理と深く結びついていて、心や身体や自然界の声に気づいていたんだ。その澄まされた心的態度が運動の法則を理解するまでにも及んで、自分の姿勢すらも再構築することを可能としたんだ。ゲーテはいつも立って執筆する習慣があったというから、それも一因だとは思うけどね」

友「ゲーテとも友達のように話すんだな、お前は」

しまるこ「歳をとっても、心が静かに澄まされていれば背筋もしっかりするといういい例だね。現代は、この薬がいいとか、このトレーニングがいいとか、ぶつくさ色んな理論が蠢いているけど、結局心を静かにすればいいんだ。そして、色んなことに気付きながら太陽の下を歩いて身体を伸ばせばいいんだ。心を静かにすれば、運動の核となる存在を感知することができる。しかし、それをどうやってハッキリ感知してもらうか、問題はそこなんだ」

33歳の俺が最近できた19歳の彼女を題材にして愛について本気出して考えてみた 4

 今回は彼女のいいところを書く。今まで散々にわたって悪口を書いてきた。「よくお前、付き合ってる彼女をそこまで悪く言えるもんだな」と思われたかもしれないが、それについては同感だ。
 しかし、自分では決して悪口を書こうと思って書いているわけじゃない。彼女のことは好きである。好きだけどつい悪口を書いてしまう。悪い癖だ。しかし思ってもない当たり障りのない記事を書くことは、たとえこんなアクセス数の少ないブログだろうと許されることではない。書くならば、それだけのものが求められる。それは、特性をしっかり見極めて書くということだ。似顔絵と同じだ。偽物を描くわけにはいかない。その人の一番の特徴を見つけて書かなければならない。嘘を描くのは紙が汚れるだけだ。
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1 19歳

 彼女の一番いいところは、19歳というところだ。結局ここが一番いい。俺はなぜか知らないけど19歳という年齢に強いこだわりを持っていて、19歳以外とは付き合えないという深刻な病気を負っている。友達からもよく心配される。しかし我ながらすごいところは本当にいつも19歳と付き合ってしまうところだ(前の彼女は19歳で、20歳になった瞬間に別れた)。別に18歳でも構わないが、学校を卒業して、社会に一歩足を踏み出しているような感じがフレッシュで可愛い。

2 マッチングしてくれた
 二つ目は自分とマッチングしてくれたことである。33歳になっても俺は馬鹿なので24歳以下までしか「いいね」を送らない。そして本当にマッチングされない。まるで女達の間で俺だけは無視するように打ち合わせをしているかのようだ。そんなある日、彼女はマッチングしてくれた。俺の年齢を気にするところがなかった。

3 LINE
 三つ目はLINEだ。俺は自分からLINEを送らない。一旦途絶えると自分から送ることはない。LINEなんてものは会うための連絡手段だし、そう努めなければならないと思っている。宮本武蔵が五輪の書で「恋はしても手紙は決して書くな」と言っていたので、これを採用している。
 今まですべての恋愛が自然消滅した。それは俺がLINEを送らなかったからだ。たった一言「おはよう」とか「お疲れ様」を言うだけで恋愛が生き延びることはわかっていたが、それをしたら負けだと思っていた。そんな言葉を送ることになんの意味があるのか? そんなもんを送らなければ持続しない脆弱な関係なら、さっさと滅べと思っていた。俺は昔からこんな勝負に出るのが好きだった。しかし、いつも彼女に負けた。いや、現代の恋愛という文化に負けた。女はこういうとき俺以上に送ろうとしない。俺以上に俺の気持ちを試すのである。二人でお互いの気持ちを試し合って、どっちの方が消極的でいられるか競うのである。そして一週間が経ち、一ヶ月が経ち、音もなく全て消え去る。つい先日仲良く動物園に行ったはずなのに、喧嘩も別れの言葉も何もないまま、不思議と一ヶ月後には全てが消えているのである。すべてそんな別れ方をしてきた。女は受け身で男に何を言われても首を縦に振るか黙ってるしかできない生き物だけど、俺も似たようなもんだ。
 今の彼女はそんな俺を微動にしない。彼女の方から誘ったり連絡をしてくれる。花火もプールも美術館も全部彼女が誘ってくれた。LINEの仕方も独特だ。まるでツイッターみたいに呟いてくる。こちらは全く返さなくても定期連絡のようにどんどん自分のメッセージを重ねていく。
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「男が返さない以上は私からは絶対に重ねて送ったりはしない」というのが、ほとんどの女の態度だ(例え付き合っていても)。核の取り締まりのように順番を死守する。この人がこの間隔で送ってきたから私はもう少し遅くして、この人がこれだけの量を送ってきたから私は少なくしてとか、そういったこざかしい計算がない。初めてのメッセージの頃からない。
 1日全くLINEをしない日があった。彼女から「おやすみ」と言われたあと、そこでLINEが止まって、俺が返さなければいけない番だったが、何も送らないでいた。どうしてそんな拗ねた小学生のような態度をとったのか? 自分の番なのにLINEを送らないというのは相手の気持ちを試しているのか? 毎日ひっきりなしにLINEしていたのに、急に止まってしまったらそれはおかしい。どれだけ気丈に振る舞っても「忘れてた」なんて言い訳は通用しない。どれだけ忙しくても、一通も送れない状況など現代にはない。だから、普通の女だったら「この人は私を試してるのかしら?」と思うのである。
 その時の実際の俺の心的態度としては、非常に低俗な思いが駆け巡っていた。
「彼女とLINEしたいと思わない。いちいち文面を考えたり毎日必ずLINEをしなければいけないというルールに縛られることなく、返したい時は返さないで済むならLINEをしてやってもいい。そうすると悪い空気が流れるけど、その都度彼女がLINEをして挽回してくれるなら交際を続けてもいい」という考えでいた。
 そういうのは相手にバレるものである。既読になっている画面と、そこから一刻一刻流れる時間が、多くのメッセージを語る。
 彼女は「今日LINE送ってこなかったね」「どうしたの?」と送ってきた。俺はびっくりした。直球だなと思った。あまり深いことを考えず、送ってきてくれなかったから送ってきてくれなかったねと言うのだ。普通、こういう場合は、何か別の話題を切り口にするものだ。
 彼女は直球で鈍感だ。その鈍感さが可愛く思えた。こんなつまらない小競り合いをして大事なものをなくしてしまうことは、俺に限らず多くの人にあるだろう。人間が似ている同士が付き合うと、こんな小競り合いが長引いてしまう。鋭すぎる人は鈍感な人と付き合うと、こざかしいことが起こりにくいかもしれない。

4 割り勘
 4つ目は割り勘するところだ。前に付き合っていた20歳の子は、どこに行くにしても食べるにしても財布を開くそぶりはなかった。しかしこの彼女は割り勘が当たり前だと思っている。俺がたまに奢ってあげると「やったー!」と言う。お礼は言われたことはないが。
 友達に「19歳の彼女とデートするとき割り勘にしてる」と言ったら、ドン引きされた。
 19歳の彼女とよく手を繋いで街を歩けるなとも言われた。
 しかし俺が思うに、30を越えた男女が手を繋いで歩いている方がよっぽど不気味に見える。どこにもフレッシュさがない。まだ子供を挟んでいるならわかるが、いい年した男女が2人で歩いていると早く結婚しろよと思う。結婚するために仕方なく段階を踏んでいるような、まるで仕事しているようだ。社会の黒い影が見える。30代や40代の男女が二人で街を歩いている景色はあまり見ないような気がする。やはりどこか恥ずかしいような、くすぐったさがあるからかもしれない。確率で言えば、33歳と19歳が歩いているのと同じくらいだろう。

5 やりたいこと
 五つ目はやりたいことが明確なところだ。なんとなく文系の大学に進学したり、大学にも専門学校にも行かずスーパーのレジ打ちをしている女の子を見ると、お前大丈夫か? と、思ってしまう。他人事とはいえども、目標とちゃんと繋がっていて、目標に糸で手繰り寄せられるように前に進んでいる人間の方が見ていて安心するし気持ちのいいもんだ。お菓子に関しては大変勉強熱心。毎日学校での成果物を送ってくれる。
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6 顔
 六つ目は、顔が可愛い。若いのでツインテールが似合う。

7 おっぱい
 七つ目はおっぱいが大きい。Fカップある。

8 センス
 八つ目は服や小物のセンスがいい。いつもサンリオのグッズを持ち歩いている。着物教室にも通っていて、着物のセンスもいい。
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9 中出し
 九つ目は中出ししても文句を言わなかった。俺はEDなのでいつも生でセックスする。別に中に出すつもりはなかったけど出ちゃった。昔、生でやったせいで固く心が結ばれたと思った女の子と破滅してしまい、大いに反省したものだったが、また復活して生でやる人間に戻ってしまった。今の彼女は俺に別れを告げなかった。

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10 無言
 10個目は、3回目のデートのとき、俺は機嫌が悪くて何も話さず、 ほとんど何も話さなかったというのに関係を継続してくれたところだ。これが数ヶ月付き合って関係が出来上がっているならいいが、2回か3回目のデートでまだお互いのことをよく知らないのに、ずっと不機嫌で無言でいられたら、大体の女は二度と会おうとしないだろう。鈍感なので気づかなかっただけかもしれないが。つまりこれは、ある程度無言でも許されるということだ。この子はあまり相手に尽くそうとはしないけど、相手にもあまり期待をしない。多少のことではビクともせず、出会い系で知り合った割には、割と強い絆で結ばれている気がする。

11 取り扱いが雑でいい
 彼女はその辺に捨てられているボロ雑巾みたいなところがあるから、雑に扱っていいような感じがある。全体的に肌が浅黒くてデカいリュックを背負って汚れた靴を履いて、育ちが悪そうだ。俺の部屋を見ても何とも思ってなさそうだ。こんな部屋で犬コロのように抱かれるのが似合ってる娘だ。
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 門限はなくて、家族が寝静まる中いつも帰宅する。深夜1時を過ぎても親に何も言われないらしい。いつも彼女と遊んでる時は、家出少女を匿っているような、援交しているような、野良犬にエサをあげているような気分になる。全裸に葉っぱ一枚残して路上に放り出してもよさそうなところがある。
12 結婚
 最近の19歳はすでに結婚を視野に入れている。例えば23か24で結婚したいと考えるなら、19の頃からその相手と交際期間を積まなければならないと考える子は割といる。結婚を逆算して考えると、もたもたしている暇はないらしい。
 彼女は今のところ結婚はどうでもいいらしい。まずはお菓子の道を不動のものにして自分の人生の基盤がどうにもならない以上は結婚は後回しだと言っていた。俺はこの考えは好きだ。俺も同じ考えでいるからだ。少なくとも家を一括で買えない以上は結婚する資格はないと思っている。

13 お金
 この子は学費を自分で払っている。親に出してもいいよと言われているのに自分でバイトして支払っている。酔狂としか思えないけど「意地」だと彼女は言っていた。そういうつまらない意地は好きだ。週に6日働いて、勉強に支障が出るほど働いているので賢い選択とは思えないが、専門も大学も親に出してもらった俺からすると立派に思う。最近、三ツ星ホテルのサービスや料理を勉強したいから、奢るからついてきて欲しいと言われた。見上げたもんである。

コンビニ店員を恫喝すれば女にモテる理由

 友人で身長が155センチしかない、とんでもないチビの男がいるのだが、こいつが信じられないほどモテる。
 今まで付き合った彼女は10人を越えていて、一度付き合うと長い。2股3股もよくやるし、3Pだか4Pもやったりしている。部屋もゴミ屋敷みたいな本当に汚い部屋で、コンドームやティッシュが何十個も転がっていて、便器にうんこがこびりついて白より茶色の面積の方が多いが、そんな部屋に女を連れ込んでしまう。そして十年以上洗われた形跡のないシーツの上で抱いて寝る。
 顔はかっこいいわけではない。ただファッションに関しては異様にこだわっていて、もう年は33になるのに川谷絵音みたいな雰囲気や髪型を真似ている。
 性格はかなりオラオラしている。男の前だと非常に静かで、相手を持ち上げるようなヨイショキャラなのだが、女の前だと恐竜のように大きくなる。おそらく長年の経験で、女に対してはオラオラ系で攻める方が吉という結論に達したのだろう。
 とにかくマメで1日に彼女と何度も電話したりLINEして、空いてる時間があれば彼女と何かしらのコミュニケーションをとっている。繋がっている状態が正常で、繋がっていない状態が異常という有り様だ。こいつを見てるとマメな人間ほどモテるというのは間違いじゃないと思う。俺は、33歳で一日中スマホを握りしめて彼女と連絡を取る男などかっこいいとは思えないが、女の目から見ると違うのだろうか?
 しかし、この男でも誰でも落とせるというわけではなくて、これも長年の経験から、自分のことを好きになってくれる女を直感的に察して、その女だけを狙って落とそうとしている。
 自分のことを好きにならない女を追いかけるのはエネルギーと時間の無駄だからやらない。自分が落とせる人間をよくわかっている。それは妥協と言えなくもないが、事実、我々はこういう手段を取るしかない。f:id:simaruko:20190613123512j:image

 ある日、このチビが彼女を連れてコンビニで買い物をしていた。俺ともう1人の友達も後ろについていたので、4人でコンビニに向かった形になる。
 そのチビがペットボトルのお茶を買って、お釣りをもらう際、店員がチビの差し出した手より、かなり高いところから落とすように金を渡した。するとチビは、
「そんなに俺の手が汚ねぇんだったら! ここにおけよ!!」と言って、店内全域に響き渡るような声で怒鳴り、レジ机をバン!! と叩いた。
 隣にいた彼女も店員も俺も友達も客もみんなびっくりして何事かと思った。
 店員は何度もすいませんと謝っていた。
「すいませんじゃねーよ! 客の手に触れんのが嫌なんだろう!? だったらここに置くとか釣り銭トレー用意しろよ!」
「もういいよ! ゆう君! いいから行こうよ!」
 彼女は必死にそのチビの袖を引っ張って連れ出そうとするけど、チビは頑なに動こうとしなかった。彼女は泣き出してしまった。店員も顔が青くなってしまっていた。
 彼女は泣き出してしまった。わんわんと顔をぐちゃぐちゃにして泣き腫らして、店内は結構な騒ぎになってしまった。
(おかしい……)
(たかがコンビニでお茶一つ買うだけなのに何がどうしてこんなことになってしまったんだ?)
 空中から金を落とされても別にいいだろう。そんなに手をギュッと握り締めてもらいたかったのか? お前が小さいから届かなかったんじゃないのか? なんで彼女は泣いているんだ? 女はでかい声を出されるとすぐに泣く。
「映画みたいだな」

 と友達が呟いた。

「ふ」と俺は笑った。

 コンビニの中で大きな感情がうごめいている。登場人物がみんな感情的で、感情的な人間が揃うと、それだけで些細なことが劇的になる。ペットボトルのお茶を買うだけで大事件になる。
「仕事なめてんじゃねえよお前。いい加減に仕事してんなよ?」
「ゆう君! もう行こうよ! ゆう君! うわああああああ!!」
 この世の終わりのように泣き崩れていた。すっかり熱が入ってしまっている。俺はこのバカ二人を見て気持ちよさそうだと思ってしまった。幸せそうだなと思った。セックスしているようにしか見えなかった。
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 その後、4人で夜の街を風を浴びながら歩いていたら、嘘のように今度は意気消沈していた。
「お願いだからもうあんなことはしないで……」
「わかった。もうやんねーよ……」
 ピュアな不良更生物語みたいだった。
 こいつらは現実の世界にいない。夢の中で生きている。女の顔を見ると、頬をピンクに染めて、すっきりしたような顔をしている。一段と彼氏のことが好きになったようだ。彼氏も風を浴びながらポケットに手をつっこんで歩いて、困難な事件と戦ったあとの主人公みたいな顔をしていた。
 こういうところがこのチビのモテるところなんだろうなと思った。クソみたいにくだらなかったが、彼女に満足を与えたのは事実だ。俺と後ろに居た友達は端役もいいところだ。どんなときも怒らず騒がずじっとしている男というのは、女の目から見たら舞台に上がっていない人間のように映るのだろう。
 女はでかい声を出されると、子宮にビンビン感じてしまってその場で立っていられなくなってしまう。感情をぶつけたりぶつけられたり、感情が暴れて激しく動き回るのが好きなのである。好きだし、癖になっていて、ニュートラルになっている。口では「落ち着いてる人が好き」「店員に優しくできる人が好き」と言うが、実際そういう人と一緒にいても何も感じない。風俗嬢が客に対する態度をとる。
 DVされる女が毎回必ずDVする男と付き合うように、女はこういう男が好きなのだ。頭では否定していても心はそういう男を求めてしまう。がなり立てられ耳につんざくような爆音が子宮いっぱいに響くと気持ちよくて、「イヤアァァァーーーー!!」と叫んで、その後二人でぼんやり宙を見つめて「あたし達、死んじゃおっか……」と言うまでがワンセットだ。これはやはりセックスなのだ。
 こういう男に彼女がいないということは決してない。他にもこの手のタイプの男を何人も見てきたけど、みんな彼女がいた。そしてみんな感情的な女だった(女はみんな感情的だけど)。
 店員に怒鳴った方がモテるというのは悲しい理屈だ。少なくともこの彼女から見て、俺と友達は男として見られていなかった。これは自分が女になったつもりで世界を見ればわかるけど、男はどれもこれも全員ナメクジにしか見えない。厚い壁が迫ってくるような感覚がなければ、男なんて全員同じに見えてしまう。
 女は視覚的に、恋をしたり人間を認めているわけではない。雰囲気だ。こんなチビでも川谷絵音みたいな雰囲気を出していればアーティスティックに見えるらしい。女は男以上に頭の中がお花畑である。ファンタジーの中で生きている。しかし面白いところは、姿形や装飾が伴わなくても、雰囲気だけそれっぽければ十分なようである。

ちんこが勃たない

 もし「文章を書くことが恋愛スキルを向上させる」と言ったら、多くの人は意味がわからないと言うだろう。
 文章を書くことは、その都度1回1回自分の心を空間や世界との距離を整理して、最適な言葉を綴っていく作業である。多くの確認や反省が必要とされて、心を静かにしなければできることではない。そうやって心の研鑽を積んでいくと、少しづつ澄んだ文章が書けるようになってくる。つまり、心の修養だ。心が鍛えられれば、恋愛や全ての物事においてとても役に立ってくる。
 だから、どんどん文章を書いたり、創作したり、運動しなければならない。相手を介さないものだとしても、芸事というものは自分を高めてくれる。恋愛にも応用できるものだ。いや、応用するものなのだ。家で引きこもってひたすら文章を書いているだけの人間でもモテるようになる。

 残念ながら俺のちんこは不良品で、どうでもいい時に勃つくせに肝心な時に勃たない。このせいで多くの被害に遭ってきた。
 線が細い中性的な美少年タイプは、セックスが弱くただの観賞用途に過ぎない。勃たなかったり精子が出なかったり、性における深刻な病気を持っていて、心に深い傷を負っている。女性ホルモンが多く、男と女の間を行き来する両生類。欠陥品なのだ。俺達のような美少年タイプはろくなセックスをしないせいか、マッチョに女を持ってかれてしまう。ジャニーズ好きな腐女子ですら、肉厚ハンバーガーのようなマッチョに一度抱かれると、二度とジャニーズのコンサートに行かなくなるものだし、美人ほどマッチョを求める。マイク・タイソンのような男に抱かれると、女は本能的に優れた男に抱かれていると思うらしい。
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 セックスが弱そうな男だろう。性の病気は人格を大いに捻じ曲げる。ロベスピエールのように狂いに狂って大粛清を起こしてしまうほどだ。俺もEDだからロベスピエール寄りの人間で、頭の中でいつも恐怖政治が行われている。
 3分の2の確率でいつも勃たない。深刻だろう? お互い裸で抱き合って前戯を済ませ、さぁ挿れようというときに入らないほど悲しいものはない。ただ抱き合って終わる。女の子が一生懸命勃たせようとしてくるとき(俺のためか? 自分のためか?)、とても惨めになる。もしビンビンのマッチョが乱入してきたら、彼女を譲って静かに立ち去るしかなくなる。そんな悲しいことを何度も経験してきた。いつもバイアグラを飲んでるけど効き目があるのかどうだかわからない。俺はセックスの時、いつもイヤラシイ目をしながら「いただきます」と言うけど、そんなことを言っておきながら盛大に食べ残すので、ご馳走さまは言えずに終わる。
 初めての相手とのセックスはだいたい勃たない。2回目3回目につれてようやく勃ってくる。これは慣れてきて勃つようになるのではなくて、一度失敗したのに、もう一回チャンスをくれたという安心感のおかげだと思う。この人は勃たなかった俺とまたセックスしてくれるんだぁとほっこりして勃つのだ。付き合っている彼女のように、何十回もやっている相手ならまぁまぁ勃つ。初めての相手だと勃たない。
 だから、やはり精神的なものだろう。なんとなく気後れしているというか、気持ちの面で負けてしまって、緊張しているから勃たないのだろう。あと、毎日思い切り握り締めるようにオナニーしているから、そのへんの膣圧じゃ満足できない身体になっていることもあるだろう。だから圧の強さを求めて19歳を求めてしまうのかもしれない。
 これは不思議なことだけど、小柄な女の子だと勃つ傾向がある。身長が140センチ台で体重も30キロ台の子ウサギのような相手だったら勃つ。しかし、自分より体重が重かったり、ふくよかな女だと勃たない。
 自分より圧倒的に小柄な人間だと、征服感というか、相手を制圧している感じがして心に余裕がでてくる。丸め込むように後ろから思いっきりガンガン腰を振れてしまう。これがふくよかな相手だとどうしても気後れしてしまって、積極的にいろんな体位も出来ない。どうしても重厚感に負けてしまう。腫れ物に触れるようなよそよそしいセックスになってしまう。これは俺だけなのか? それとも他の男にも当てはまるのか? 俺はEDの人の多くに当てはまると思うのだが。
 だから男はマッチョでなければならない。AV男優がマッチョなのにも理由がある。体格は大いに関係している。今の彼女は体重が50キロで俺は59キロなので、たった9キロしか違わない。破壊的なセックスをするには20キロ差は必要だろう。彼女の身長が156センチで俺が178センチだから、明らかに彼女の方が肉の膨隆感はある。俺の方が身長がある分体重を稼いでいるだけだ。一つ一つの腕だったり腿の周径はあまり変わらない。
 だから、気後れしてしまって、いろんな体位でガツガツやれずにいる。彼女を軽々持ち上げられるようなら簡単に勃つと思う。ある日、あまりにも勃たなくて、1時間ぐらいずっと勃たなくて、やべえなぁ……と本気で困っていて、苦肉の策で、なんとなくギュウ……! と、破壊するようなつもりで彼女を抱きしめたら、全てをぶち壊したような感覚があった。俺と彼女の間にある精神的な壁が破壊されたような感覚があった。そしてビンビンに勃った。
 俺の体が膨隆したわけでも彼女の体が小さくなったわけでもない。思い切り抱きしめることで精神的に彼女を制圧することに成功した気がした。そのまま殺す勢いで抱きしめていたら、さらに硬度は増していった。これまで彼女を人間だと思ってどこか辟易していたけど、蚊やアメンボのように感じた。そして俺に最高の思想が降った。
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 どこか相手におどおどしたり、人間に感じたり、気後れするようなものがあったらダメだ。勃つとか勃たない以前に、女といるときの心的態度として間違っているのである。セックスに限らず、女は制圧しなければならない。精神的に全て包み込んで完全に掌握してしまう。女もそれを望んでいる。肉体的にも精神的にもマッチョを望んでいる。「自分は優しい系でいく」は逃げだ。マッチョになれない言い訳だ。どうせ家に帰ったらマッチョの悪口を言うんだろう? 
 女は頭から爪先まで支配されるのを望んでいる。ほとんどの男がモテないのは、みんな大人しくて行儀がいいからである。何か言っても丁寧な受け答えや愛想笑いや、語尾に「〜〜だね」とか、おかまっぽい口調で話すからモテない。初めて会う女にも、セックスしている態度で話さなければならない。見上げてはいけないし、横並びの感覚でもいけない。そんな感覚でいるから負けてしまう。
 こんなことを言うとオラオラ系を勧めているのかと思われるかもしれないが、オラオラ系ではない。オラオラ系は自分の熱気を鼓舞させているに過ぎない。常に自分の心の中をかき乱して落ち着きがなく、心底にある弱気な自分に主導権を渡しておきながら表面的に強がっているに過ぎない。そういう心の焦りは透けて見えてしまうものである。そうではなく、既に攻略したような心持ちでなければならない。顔射やアナルセックスやイマラチオを既に終えた後の心持ちで初対面の女にぶつかるのだ。
 女といる時のソワソワした気持ちをひとつ残らず破壊しなければならない。そのソワソワした感じが女から嫌われる。あなた自身もそんな自分が嫌だろう。それを越えられないから「優しい系でいく」とか言い出すのだ。普段の瞑想を通して心を破壊しなければならない。そうすればどんなに可愛い女が目の前に現れても自然体でいられる。顔射をし終えたような悠然とした態度でいられる。女が全員白い布を被っているようにしか見えなくなるだろう。ソワソワしているからモテない。そして勃たないのだ。1度長く女と付き合ったり、恋愛経験が多い人間は何歳になってもモテるように、その理由はソワソワしたところがないからだ。女という生き物に慣れていて心がソワソワしないためだ。
 だから、いくら知識でモテるテクニックを身につけたとしても、心の方が未熟だとモテない。ある一流ホストが女にモテるためには何が必要かと問われた時「自信」と答えていた。仕事もそうだ。すべてそうだ。結局「自信」だ。
 今彼女がいる人はその彼女を使ってどんどん自分の弱い心を壊していって自信をつけることだ。彼女がいない人は出会い系で女と会って心を壊すことだ。また、創作活動や運動や瞑想を通じて、一つ一つ心を壊していけばいいのだ。芸事はそのためにある。心を破壊しなさい。

25歳の頃、集英社に「幻のチンコオロギを捕まえろ!」という漫画を持ち込んだ話

 25歳の頃、集英社に漫画を持ち込んだ。「幻のチンコオロギを捕まえろ!」という下品でくだらないギャグ漫画だ。
 当時は印刷会社で働いていて、毎日紙と油にまみれて、そして誰とも口をきかずに仕事していた。猿でもできる単純作業の繰り返しで、精神は破壊され、いつもボーッと涎を垂らして床に溜まっていた。
 本当に人生で一番ひどい時で、とにかくこの状況から抜け出したくて、色々挑戦した。別に自分が漫画家に向いてるとは思わなかった。自分は絵を描くように生まれついていないことはわかっていた。まだ文章の方が向いていると思った。だけど、文章なんていくら面白く書けても誰も読んでくれないこともわかっていた。
 ブログやYouTubeで稼げる時代でもなかったので、どうしたものかとひたすら考えて、漫画しかないと思い立ち、初めて漫画を描いたのが25歳だ。遅すぎる。絵を元々描いている人だったら、そこまで遅くないかもしれないが、俺は今までろくに描いたことがなかったのに25歳で漫画を初めて描こうとした。なかなかの無鉄砲だ。そして2週間ぐらいで描き上げて、集英社に持ち込んだ。

 集英社のビルを見つけるのに凄く苦労した。集英社のビルは5個や6個やらたくさん棟があって、持ち込みは一体どこの棟に行けばいいのかわからなかった。集英社のビルというくらいだから、ワンピースだったりドラゴンボールの広告が大きく貼られているかと思えばそんなことはなく、普通のビルに少しだけ漫画の絵が貼られているだけで、見分けがつかなかった。
 中に入ると、受付のお姉さんがびっくりするほど綺麗だった。2人の女性が立っていたけど、2人とも本当に若くて美人で、集英社の上層部の妙な力が働いているような気がした。その女2人とも、自分がどういう目的や意図でここに立たされているのかよくわかっているような顔をしていた。電通もこんな感じなのだろうか? 都会的だった。
 編集員らしき人がちょこちょこ出入りしていた。受付の女性達と顔を合わせる度に、よく話し込んでいた。普通に「こんにちは」だけで終わっていなかった。集英社のスタッフと言うと、めちゃくちゃ忙しいイメージがあったけど、こんな風に女とイチャイチャ話すもんなのかと驚いた。女と話し込むナンパ的な要素がなければ務まらないというのか? 編集者は第2のクリエイターであって、いつも漫画のことしか考えてないオタク野郎だと思っていた。

「持ち込みに来たんですけど」と言ったら、お姉さんに慣れた様子で案内された。非常に長く待たされた。1時間ぐらい平気で待たされた後、すごいマッチョの編集員がやってきた。集英社にもいろいろ雑誌があるけど、今回はヤングジャンプにしてみた。なぜヤングジャンプかと言うと、ジャンプより階級が低くて通りやすいと思ったからだ。あと、俺の持ち込んだ漫画が下品だから、青年雑誌の方がいいと思った。
 マッチョの編集者は忙しそうだったけど、別に面倒臭がる様子もなければ、へりくだる様子もなかった。集英社の印象が悪くならないように最低限のマナーや口振りで俺と話した。一時間待たせたことを大して悪びれる様子はなく、「では漫画を見せてください」と言った。さすがに仕事が早い。
 俺は自分の描いた漫画を見せた。

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 漫画を読んでいる最中、何度かため息を吐かれた。読み終わった直後の一言は、
「これ、ギャグ漫画?」
 だった。なかなかの嫌味である。
 俺は「はい」と答えると、
「このさぁ、度々挿入されている人生訓みたいなものは何?(笑)」
 と言ってほくそ笑まれた。2つ目の感想がそことは、相当読んでて苛ついたんだなぁと思った。感想が、いちいち嫌なとこを突いてくる。ここら辺はさすが編集者といったところだ。
「これはギャグ漫画?」なんて聞くのは非常に憎ったらしい感想だ。「つまらない」「面白くない」よりも嫌ったらしい。悪意を込めて、ギャグ漫画として成立してませんよと言っているのだ。
 次の「人生訓みたいなものは何?」というやつだが、これは、若い作家の新連載なのでよく見られる、無理やりどっからか持ってきた含蓄めいた言葉に我々がせせら笑ってしまうように、カラオケで若い奴が演歌を歌うと片腹痛いように、俺の漫画もそうだと言っているのだ。主人公が勝手に変な師匠と出会って変な境地に落ちいって、不自然に熱くなったり騒いだりして、そこに必然性はなく、終始登場人物の行動が不自然で、無理やり作者が感動を与えたくて必死で、外から持ってきたセリフを当てはめたり、泣かせる言葉や含蓄めいたセリフを書いてしまう。これは、実力が伴わないのに、尊敬されたい、すごいと思われたいという欲求ばかりが先立ってしまって空回りしている恥ずかしいやつだ。この恥ずかしさを俺に気づかせようとしたのだ。実力が伴わないのに、空っぽの自己啓発を振り回すほど恥ずかしいことはない。俺もなんだか顔が真っ赤になってしまった。俺はこの辺りで、この編集者はできるなと思った。嫌味が巧妙だからだ。

 この「幻のチンコオロギを捕まえろ!」という漫画は確かにギャグは滑っている。人生訓も滑っている。だけど、まぁ個性的ではある。不思議なパワーみたいなものがあるような気がする。悪く言えば調子に乗っているところがある。キチガイ系のギャグだったり、ぶっ飛んだ系のギャグというのは、人を不快にさせる。読み手は自分の存在を無視されたような気分になり、無視されたまま、延々とマスターベーションをされているような気分になり、まぁ、不快になる。少量ならいいが、最初から最後までそれだけで構成されているので、この編集者はイライラしたのだろう。

「お笑いっていうのは論理的じゃなければダメだと思うんですよ。全てのお笑いは、解剖すれば非常に論理的に成り立っていると私は思っているんです。あなたは、おそらく感覚的に描かれたと思うんですよ。これは難しいことをやろうとされてますよ。プロの作家がこういった独特の世界観の中でお笑いをやろうとしないのは、できないからではなくてやらないんだと思います。現実から離れてしまって論理的でなくなるからやらないのだと思うんですよ。独特の世界観で功を奏したのは、『ボーボボ』くらいでしょうか? みんな、難しいからやらないんだと思います。お笑いは現実的で論理的なもので、ただでさえ難しいものだから、世界観まで難しいものに設定してしまうと、訳が分からなくなってしまうんじゃないですかね。ワンピースのようなファンタジーもバトル漫画だから成り立っているんですよ。ギャグ漫画はよくわからない世界観でやるのは無理があると思いますね」
「はぁ……すいません」
「いやいや、謝らないでくださいよ」
「ああ、すいません」
「だから謝らないでください(笑)」
「(笑)」
 印刷工場で怒られ続ける毎日を送っていた俺は、なんでもすぐに「すいません」と言う習慣が身についてしまっていた。目の前の人間を自分の中で勝手に大きくしてしまい、地面を踏む度にコンクリートに申し訳ないと思っていた。
 まだ俺はこの人と何も契約を交わしていないから、客人なのである。例え就職活動の面接でも、入職する前は他人なのである。お互いが個々として独立していなければならない。コンビニの店長も面接の時は敬語だ。「すいません」なんて言ってはいけないのだ。

「好きな作家さんとかいますか?」
「大石浩二先生です。『いぬまるだしっ』が好きです」
 そういうと、今までのどこか嫌味ったらしい態度が消えて、急に親しみを込めた、にこやかな笑顔を見せてきた。
「そうですか! 『いぬまるだしっ』が好きなんですかぁ! 僕も大好きなんですよ! ああそうなんだぁ〜、『いぬまるだしっ』かぁ〜〜!」
 同じ編集部に『いぬまるだしっ』が好きなスタッフがいないのだろうか? 久年の友を見つけたようにはしゃいでいた。
「『いぬまるだしっ』もねぇ、やっぱり論理的じゃないですか? あれほど論理的なギャグ漫画はないですよね? だからあなたもできるだけ多くの人に漫画を見せたりしながら、感覚的ではなく、論理的に作れるようになるのがよろしいかと思われます」
「画力はどうですか?」
「うーん、このぐらい描ければ、まぁいいんじゃないですか?」
 俺はこの時、自分の絵がどれだけの画力かよくわかっていなかった。初めて描いたというのもあり、自分がどこの地点に居るのかさっぱりわからなかった。だから、『このぐらい描けていればいい』という言葉は嬉しく感じた。だが、その感情はすぐに裏切られることになる。
「ちなみに今、おいくつですか?」
「25」
「ああ、そうですか、全然いいんじゃないですか、若いじゃないですか! 25から持ち込んでくる人は全然多いですよ? 画力もすぐみんな上手くなっていきますからね。やっぱり色んな人に見てもらうことが大事ですよ。ギャグ漫画は人によって全然意見が変わってきますからね。編集者でもそうです。僕の方では正直よくわかりませんでしたが、他の編集から見たら面白いと言ったり、何か感じるところがあるかもしれません。せっかくここまで来たんだから、もう1人か2人見てもらったらどうですか?」
 本当に糞作品だったらこんな言葉かけてもらえるはずはない! この人は俺の漫画はあまり好きではないけど、どこか見張るものがあると思ったから、そう言ったのだ! と、都合のいいように解釈して、つい嬉しくなってしまった。
 そして、本当にその言葉を真に受けて、別の編集者に来てもらうように受付でお願いした。ヤングジャンプの編集者はレベルが低くて俺の漫画がわからないと思って、今度はジャンプの編集者を呼んだ。

 ジャンプの編集者はヤングジャンプの編集者より更に忙しいようで、電話をかけた時からイライラしていた。
「今からですか? あのーちょっと急なんで困りましたねぇ。2時間ほど待ってくれるのであれば構いませんが、そういう時は前日に連絡してもらえないでしょうか? ちょっと急過ぎませんかねぇ……」と何度もため息をつかれながら言われた。まぁ、せっかくだから俺は2時間待つことにした。
 本当に2時間ぐらいして、男はやって来た。遅れてきたくせに、またその男も受け付けの女と10分も15分もべらべら話していた。一体集英社の編集者はどうなってんだ? ただのナンパ野郎しかいねーじゃねーか。忙しいんだったら仕事しろよ。一日中風俗ハシゴしてんじゃねーのか? と思ってしまうほど、男は鼻の下が伸びていた。

「すいません、お待たせしました」 
「いいえ」
 先程の編集者とは打って変わって、非常に細身で小柄で鬼頭ヘアーでメガネをかけた大人しそうな人だった。なんでこんな下ネタみたいな頭したヤツがナンパしてんだ? どうなってんだ? 集英社は。

「それでは漫画を見せてもらえますか?」と言われた。やはり仕事が早い。
 俺は漫画を差し出すと、表紙を見た途端、ギョッとした顔をした。
 俺のことを、2時間待たされても、殊勝な態度で「いいえ」と言える、できた人間に思っていたから、こんな表紙の漫画を差し出されてびっくりしたのだろう。
 しかし、突き返されることなくちゃんと最後まで読んでもらえた。1度も笑われなかったが。
 読み終えると、「うん」と唸づいて、一息ついて、「正気ですか?」と笑われた。俺は「はい」と答えた。
「そうですねー……。良かったところから話しましょうか。安定感はあると思います。ギリギリのところでラインを保っているような、一つどこかで扱い損ねると、物語全体が崩れてしまいそうなところを、なんとか保っているような印象を受けます。よくわからないけどギリギリなところで物語として成立しているような気がします。その、何が安定しているか、うまく言葉では言えませんが」
 それはつまり、キチガイのキチガイなりの動線が確立されているということなのだろうか? 褒められているのか? 貶されてるのか? しかし、さっきのマッチョと比べたら好印象ぽかった。
「で、悪いところなんですが、そのー、まぁあなたもわかっているとは思いますけども、タイトルにチンコが入ってる時点でNGです。マンコオロギもNGです。そしてチンコオロギのデザインもNGです。そのあたりを直してもらわないと賞レースには持ち込めないですね」
「じゃあ、それを直せば賞レースに持ち込めるんですか?」
「いや、とにかく画力が低すぎます。特にこのような漫画ですと画力が要求されます。独特の自分の世界観を伝えたいのであれば画力がとても必要になります。漫画太郎先生とかいい例かな? 画太郎先生も画力あるからなぁ〜。そして雑過ぎます。原稿を描くという意識が足りてません。鉛筆書きの跡も消えてないし、線の一つ一つが非常に汚いし、枠もはみ出しているし、丁寧さに欠けます。原稿を原稿だと思っていません。もしよかったら、プロの描いた原稿を持ち帰ってみますか?」
「お願いします」
「ちなみに今おいくつですか?」
「25」
「うーん、25かぁ。25……かぁ〜」
 そういうと、編集は笑い出した。
「ギリギリだなぁ。25歳かぁ。仕事もやられてますよね? うーん、ちなみに1日で漫画を描ける時間はどれぐらいありますか?」
「2時間ぐらいです」
「そうだよなぁ、まあ、それぐらいしか時間取れないよなぁ。ちなみに、これから本気で漫画家になろうと思っていますか?」
「はぁ、そのなんというか、今回は自分の漫画がどれぐらいのレベルなのか確認したくてやってきてしまった感じです」
「そうですか。それでは、感想なら、そうですね。やはり画力が低くて掲載レベルには至れません。まずは画力をどうにかしてくださいとしか言えません。ただ、個性的だしパワーみたいなものは感じましたよ。そして、この変な感じの空気を保ったまま物語が完結していますから、面白いな、とは思いました」
「画力ですかー、なかなか絵が上手くならなくて。絵を描くのがそんなに好きじゃないというか」
「そんなこと言われても困ります。それは本人の努力でなんとかなる問題ですよね? ちなみに今あなたの前に、九州からここまでやってきた19歳の子の原稿を見ましたが、あなたより遥かに絵が上手いです。そして非常に努力しています。漫画家になる覚悟を決めておらず、ふわふわした気持ちだと、とてもじゃないけど難しいと思います」
 編集者でも真逆の意見になるんだなと驚いた。


 そうして俺は家に帰って色々反省した。辞めるべきかどうするか迷った。だけど、今出来ることは漫画を描くぐらいしかないと思い込んでいたので、とりあえず二作目三作目と続けて描いた。持ち込むことはやめてしまったけど、ネットで発表していた。一応手元に残っているので、見たい人がいたら載せようと思います。
 しかしどの作品もイマイチだった。おそらく今覚えば、デッサンや構図がデタラメでチグハグした感じが目立つことや、漫画のセリフという短い言葉で的確に表現する大喜利のようなセンスに欠けていた為だろう。決めなきゃいけないとこで滑っている。これは画力というよりセンスの問題か。同じ頃に書いたシナリオや小説の方が上手く書けている気がする。

www.simaruko.work

 

www.simaruko.work

 

 創作というのは、作る上での約束事があって、その約束事をしっかり守れない以上はどうやっても面白くならないし、創ってる本人も楽しめないものである。
 例えば教室で先生と生徒がやり取りをしていても、机や椅子や窓やドアや教壇がしっかり描かれていないと、少なくとも記号として何がどうなっているのかすんなり入っていけるものでないと、ふわふわしてしまってよくわからない情報で終わってしまう。描いてる方も自分でそれを痛感してつらくなる。

 最後に、あれから8年経った今、俺の目でこの漫画を批評してみよう。1人目の編集者に言われたように、身の丈に合わないことをやろうとしたなという所感だ。漫画を初めて描く人間ほど、すごいことをやろうとしてしまう。めちゃくちゃ笑えて、しかも含蓄の富んだ、誰も見たことのないすごい漫画を描こうとしてしまう。気づいたかどうかわからないが、オチは「まどかがマンコオロギだった」というものだ。しかし画力というか描写が足りなくて、まどかではなくて別の誰かがマンコオロギになったような、急に突然マンコオロギが出てきたような感じになってしまっている。友人に見せたところ、突然マンコオロギが出てきてよくわからなかったと言っていた。それをやりたかったのなら、まどかがマンコオロギに変貌する描写をちゃんと描かなければならなかった(トレードマークの帽子? を落とすとか)。変なキャラが万札を破って人生訓っぽいことを垂れているのも滑っている。あと、チンコオロギの糸みたいなヤツで全員捕獲されてるだけで終わってるのは、もちろん画力がないからである。画力がなくて飛んだり跳ねたり複雑な戦闘シーンを書けなかった為である。主人公の少年がどれだけチンコオロギの猛攻を受けても死なないが、弱点を知ってるまどかに浮気だと勘違いされて殺されるというクライマックスを作りたかった。

 せいぜいこの漫画の面白い点は、主人公の少年が虫取り網でヒロインの頭に振りかかってるところだろう。そこがこの漫画の肝だから、とにかく虫取り網を、ひたすら女の子の頭に向かって振り続ければよかった。そんなシーンだけでよかった。あと、摩天楼がチンコオロギに「すいませんすいません!」と謝ってるところも少し面白かった。当時は、友達が「摩天楼? がチンコオロギに謝ってるとこだけ面白かった」と言っていたけど、その意味が今わかることができた。難しいことをやりたかったんだろう。面倒くさいごちゃごちゃしたセリフの応酬は不要で、ただ虫取り網を振ってるだけの漫画でよかった。

「マンションか戸建てか」出会い系で知り合った30歳の女性とカフェで激しく口論してしまった件

 出会い系の女(樹里、30歳)とこれからの住まいについて論争になった。この女性とは一度しか会ってないのに住まいの話になったのだが、珍しいことではない。いい年した男女が出会い系で顔を合わせると結婚観を話し合うことになり、ついでに住まいの話になることは多い。

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女「マンションか戸建てか……、どっちを買うか悩むところですよね」

しまるこ「俺はどちらにせよ、賃貸にすべきだと思う」

女「えっ、賃貸ですか?」

しまるこ「今の時代、家は決して買ってはいけない商品だと思う……」

女「えっ、どうしてですか? だって、賃料をずっと払い続けるなんて損だと思いません?」

しまるこ「俺の友達も最近4000万の家を買ったんだよ。35年ローンだってさ。月給は手取りで25万らしい。子供も2人いる。毎月これから9万円払うんだってさ(笑)。友達も言ってたよ。賃貸だと自分のものにならないって」

女「ほら、やっぱり……! でも4000万はすごいですね。あーでも、毎月9万支払わなきゃいけないんだぁ……」

しまるこ「家を買ってしまうとさ、そこから離れられないことが一番辛いことだと思うんだ」

女「えっ、そんなに引っ越したいんですか?」

しまるこ「少し海外に夢を向けてみよう。東南アジアなど物価が安い国だと日本の3分の1の値で生きていけるんだ。都市から離れたところだと更に安くなるんだよ。もし生活に行き詰まったり日本が嫌になったら海外に亡命してしまえばいいんだ。樹里さんは知らないかもしれないけど、そういう人は増えてきている。ある程度日本で貯金してから亡命すればかなり贅沢できるんだよ? 知らなかったでしょ。もちろん現地で働いたっていい。海外は『みなさん、お互いに手を抜きましょう!』という優しい文化だから、日本企業のような堅苦しさに悩むことなく働けるんだよね。毎日の勤務時間も2時間は減るだろうね。2時間ってすごくない? 樹里さんも、毎日の勤務時間が2時間減ったら超嬉しいでしょ? ドイツに留学した友人は、ドイツ人は午前中しか働かないと言ってたよ」

女「えーー! 海外ですか? 急にめっちゃ大胆ですね」

しまるこ「俺が調べたところ、特にチェンマイが安い。普通に生活しても7万円ぐらいで収まるらしい。もっと頑張れば半分位に切り詰められるらしい。これはミニマリストではない普通人が言っていた情報だ。そんなに節約を頑張らなくても毎月7万くらいで生きていけるらしい」

女「でも、言葉話せないと大変じゃないですか?」

しまるこ「言語の壁もGoogle翻訳が精密になってきたからなんとかなるらしい。ネットで色々調べていたら、Google翻訳があれば大丈夫とみんな言っている。いや、それすらあまり必要ないらしい。何も話せないまま向かっても、1ヶ月でなんとかコツを掴んで話せるというか、切り抜けられるようになるらしい。若槻千夏も英語話せないのにアメリカに亡命してビジネスで成功していたよね? 俺、たぶん、若槻より頭いいと思うんだ。今の時点で多くの人が大丈夫と言っているから、数年後にはGoogle翻訳が更に進化して困らなくなると思う」

女「寂しくないですか? 日本を離れてみんなとお別れするの……」 

しまるこ「『日本は旅行するにはいいけど住むのは最悪』と世界から言われている。日本しか知らない俺でも勝手にそう思っている。おそらくこれから10年も経てば日本人は日本にいるのが我慢できなくなって、海外に散り散りになると思う。今は終身雇用も壊れて、個人で生きる時代にシフトしつつある。ブログやYouTubeで稼いで生きる人達も凄い勢いで増えてきてる。樹里さんはあまりこういうのは知らないようだけどね。そういう人達はわざわざ物価や税金が高い日本で働く理由もないから、海外に行くようになると思う。家を買ってしまったら貯金は溜まらなくなるし、亡命が困難になるよね」

女「うーん、確かにAI時代とか言われてきてるし、うちの会社も事務の経理とか会計ソフトがあるからいらなくなってきてますね。でも、今はまだ会社勤めするのが一般的だと思うなぁ」

しまるこ「どうしても会社勤めしたいなら、田舎に住んで働けばいいんだよ。田舎だと空き家が800万円とかで売られてる。賃貸でも庭付き一軒家が2万くらいで借りられるよ? みんな大した会社で働いてないんだから辞めて田舎で働いたらいいんだ。田舎の空き家なら、これくらいの物件が家賃1万から3万くらいで借りられるよ」 

 そう言って俺はスマホの写真を見せた。f:id:simaruko:20190609135408j:image

女「へー、すごいですね。こんな大きいところが借りられるんだぁー。ていうかさっきからめっちゃ詳しくないですか?」

しまるこ「ははは、まあね」

女「確かに安いかもしれないけど、ずっとここに住むんですか?」

しまるこ「お金が貯まるまではこういう安いとこに住んだ方がいいと思う。働いてたら、どうせ家にいる時間なんてそんなにないでしょ。子供とペットだけだよ、ずっと家に居るのは。家なんて雨露凌いで寝れればいいと思うけどな、それに、ほら」

 俺はまた写真を見せた。f:id:simaruko:20190609135518j:image
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しまるこ「最近はコンテナハウスだったり、ドームハウスなるものがあって、家は新しい環境に移っているんだ。どうしても田舎の空き家じゃ嫌だというなら、こういうのにしたらいい。これまでは鉄筋コンクリートで建設する為に多くの輸送や人件費がかかっていたが、これからは人手もかからず材料も安値になる環境が整いつつあるんだよ。これらは大体500万くらいで買えちゃうんだよ」

女「へー、結構綺麗ですね。一人暮らしならいいかもだけど、家族だと狭くないですか? それに、形が一般的じゃないから、目立ちません……?」

しまるこ「確かにね。まぁ、でも、山奥にこっそり建てればいいんじゃないかな? 実は……俺、山奥でテントで暮らせばいいんじゃないの? って思ってるんだ。テントはさ、かなり頼りがいのあるところまできているんだ。家族用の10人用のテントだと10万円で素晴らしいものが手に入る」

女「テ、テント……!?」

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しまるこ「これで山奥の中で暮らせばいいんだ。ふざけていると思う? いや、4000万出すほうがよっぽどふざけてるよ。1人暮らしだろうが4人家族だろうが、テントで暮らせばいいんだよ。狭かったら人数分買えばいい。4つ買っても40万だ。4000万の買い物が40万に早変わりだ(笑)」 

女「…………」

しまるこ「いや、テントって言うけどさ、最近のテントすごいんだよ? 普通に素晴らしくない? こんなところに住めたら十分幸せじゃない? ベッドとソファーも全然置けちゃうよ? ワンルームのマンションよりずっと広いよ? ソーラーパネルで発電すれば電気もなんとかなるよ? 冷蔵庫も洗濯機も置ける……! 40万で家を買って、残りの3960万で、冷蔵庫と洗濯機をたくさん買えちゃうよ?(笑)」

女「……」

女「はい……まぁ。思っていたよりは……」

しまるこ「労働環境や住宅環境が大きく変わりつつある現代において、4000万円の家を買うというのはナンセンスだよ。みんな月9ばかり見てるから、近所の低学歴の不動産屋の『持ち家は資産になります! 賃貸で同額払い続けるよりお得です!』という宣伝句に洗脳されてしまうんだろうね。世界にいつもアンテナを張っている少数側の人間の言葉に耳を傾けないから詐欺にあってしまうんだ」

女「……」

しまるこ「多くの場合、『賃貸なら近所に変な人が引っ越してきても逃げられる』とか、そんなつまらないメリットしか浮かばないようだけど、そんなレベルの話をしているわけじゃないんだ。それ以上に、もっと大きく、世界は変わろうとしているんだよ、樹里さん」

女「はい……」

しまるこ「郊外にマイホームを持ち、週末は家族みんなでマイカーでお出かけして外食。年に1回は海外旅行し、2人の子供を私立大学に通わせる。といった親世代で当たり前だったことを今の若い人が実現するのは無理だと言っていい。時代が変わったのだから比べることに意味もない。家なんて帰って寝るだけでいいんだ。というか働いていたらそれしかなくない? 4000万の家を買っても、それを十全に満喫できるのはペットと子供だけなんだ」

しまるこ「車は自動運転だったり太陽発電とか誰もが進化を知っているけど、家については全然知られてない。海外ではコンテナハウスなど普及しているらしいけど、海外で人気になったものは日本に10年遅れでやってくる。そう遠くないうちに波は訪れるよ。文明は変わりつつあるし、安く住める方法がいくらでもある。よっぽど貯金があるかお金持ち以外は家は買わないのが懸命なんだ。大体の家庭において今は共働きだから、専業主婦でない限り家にずっといることはないよね? 家なんて寝られて雨露を凌げれば十分じゃない? 田舎の空き家で家賃2万円程度のところで暮らして貯金をして、一括で買えるようになったら買えばいいんだ。そうすれば、ローンを支払い終える頃には廃屋になっているのが通常だけど、樹里さんはみんながローンを支払い終える頃に一括で新しく家を購入して、最先端の家で暮らせるようになるんだ」

女「……」

しまるこ「みんなが廃屋になったうさぎ小屋のローンを払い終える頃、樹里さんは一括で、最先端の素晴らしい年金生活ハウスが手に入る。年金生活に入って、家の中でしか生活しないようになってから、その時売られている1番いい家が手に入るんだ。家にほとんどいないくせに立派な家を買って、やっと落ち着いて住める頃になったら半壊しているより、ずっといいと思わない? もう一度言うけど、4000万の家は専業主婦しか得をしない。それはあまりにも高過ぎるソープ代だ。金持ちだけに許された無駄遣いだよ」

しまるこ「これが俺の賃貸の方が優れているという考えかな」

女「あの、私用事思い出したんで、そろそろお店出ませんか?」

33歳の俺が最近できた19歳の彼女を題材にして愛について本気出して考えてみた 3

「来て欲しい? だったら来てくださいと言いなさい!」
「ほーら、はやく言いなよ、来てほしいんでしょ? 来てくださいってはやく言いなよ!」
 と彼女がLINEを送ってきた。若気の至りだろう。つまらない。滑っている。面倒臭い。古い。目的もわからない。

 若者のコミュニケーションは平気で悪口が飛び交う。汚い言葉の連続で成り立っている。俺も昔はこういう言葉をよく使った。お互いがどこかで嫌な気分を覚えても、それでも悪口を上乗せして連鎖させていくコミュケーションだった。20代半ばから、こういう言葉に敏感になり固く禁じるようにしている。
「ほーら、お嬢の到着だぞーー!」
 着いたらしい。この時点で、俺はなぜこの娘とこれから遊ぶのかわからなくなっていた。
 電話がかかってきた。
「着いたんだけど、どうすればいい?」
「マンションまで20分ぐらいかかるけど、歩けそう?」
「わかんない」
「迎えに行くよ」
「どれぐらいかかる〜?」
「15分ぐらい」
「無理、走ってきて」
「走ってもどうせ信号で待たされるから15分ぐらいはかかる」
「無理」
「無理ならじゃあ今日はやめにする?」
「うざ」

「走ってきて」「うざ」これらの言葉が深く俺の胸を貫いた。頭もカーっと熱くなって、一瞬犯罪者のような顔つきになっていたと思う。馬鹿馬鹿しい。ここまで口が悪い女も珍しい。
 確かに今日は会う予定はなかった。突然、彼女が俺の駅近くにいるというLINEを送ってきたので、じゃあ会おうかと言ったのは俺だ。急といえば急なので、あまり段取りが出来てなかったのは確かだけど、これがカップルの会話だろうか? 汚い言葉を罵り合いながらバランスをとっているカップルはいるかもしれないけど、これは度が過ぎてないか? 本当に人間関係の距離感がわからない娘だ。学校で友達がいない理由がよくわかる。ビーズクッションに寄りかかるときの態度で俺に迫ってくる。
 俺は断る勇気がなかったのか? それとも彼女に会いたかったのか? 律儀に約束を果たそうとしたのか? 待たせたら悪いと思ったのか? よくわからないけど走った。19歳の女にボロクソに言われながらも駅まで走る33歳なんて、この世の終わりだ。これを優しさといってはいけない。
(今回は見逃してやる! 次やったら絶対行かねぇからな……!)
 と思いながら走った。

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 到着すると、彼女が駅前の噴水の広場で座って待っていた。彼女の顔が般若みたいに見えた。元々頬が出っ張っているのと、皮膚のアレルギー持ちのために肌が浅黒いから、余計怒っているように見えた。無神経で自分の時間軸の中でしか生きられない人間の顔をしていた。俺はこの顔を見るために一生懸命走ってきたのだろうか。
 不機嫌な顔をしていると神に愛されない。こういう顔をしている人間は、運もツキも全てから見放される。いつも愚痴や悪口や汚いガスを周囲に撒き散らす人間ほど、愛を求めているのは分かっている(愛を求めているからそういう態度を取る)。この娘はもともと重篤な持病を抱えているけれども、そういう病気もこの娘の心的態度が招いたものだと俺は考えている。神に見放されているのだ。いつもプリプリ怒っている人間ほど太りやすく健康を害しやすい。おそらくこのままでは非業な死を遂げるだろう。
 走ってきた俺に対して彼女が言った一言は「お魚食べたい」だった。スーパーに行って、お魚売り場で彼女がお魚を手に取ったので、俺はそれを取ってカゴにいれてやった。お礼を言わず、自分の家の廊下を歩くような足取りでレジに向かっていった。f:id:simaruko:20190606143942j:image

 俺のマンションに着くと、彼女は靴を脱ぎ散らかして勝手に上がっていった。俺は自分の靴と彼女の靴をドアに向くように整えた。彼女はそれを見る様子もなく奥にあるソファーに座り込んだ。ソファーに座ってお刺身を食べたあと、一緒に買ったはちみつレモンを飲み終えた。そして何も確認せずに俺のゴミ箱に捨てた。
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 以前、この部屋で鍋をやったとき、彼女に調理の全てを任せたのだが、「できた〜♪」と言って二人で仲良く囲んで鍋を食べた後、キッチンを見たらこんなことになっていたことがある。
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(居酒屋でアルバイトしてると言ってたけど、キッチン担当じゃないことは確かだろう)

「トイレ」と言って彼女はトイレに行った。その後、ビチャビチャと小便の流れる音が聞こえてきた。いつものことだ。女というのは(男でもそうかもしれないが)、一旦水を流して流水音に紛れ込ませて用をたすものじゃないだろうか? 19歳でも女の子なら全員知っていることじゃないのか? さすがにこれを注意するのは無理だ。母親ぐらいしか注意できるものではないが、おそらく、母親も同じことをしているんだろう。

 細かいだろうか? いちいち彼女のマナーの悪さを細かく観察してグチグチ言うのは最低だろうか? 気持ち悪いだろうか? さっさと別れろよと思うだろうか? 一つ一つのクオリティーが高くて無視できるものではない。俺の観察力が高過ぎる訳ではない。
 実は、なんでこんなに細かい描写が可能かと言うと、リアルタイムで書いているからだ。まったくクソ男である。彼女とデートしながら彼女の悪口をスマホでフリック入力しているのだ。こんな恐ろしい彼氏が世の中にいてたまるだろうか……! 女も女なら男も男だ。そしてこの男は、早く彼女に帰ってもらって、ちゃんと丁寧に続きを書きたいと思っている。
 なぜこんなことをしてるかと言うと、彼女が鈍感だからだ。彼女はずっとスマホでインスタを見ていて、自由気ままな空気を出しているので俺はそれに甘えている。俺はデート中は絶対にスマホを見ないと決めているけど、もうこの女の前ならいいやと思ってしまった。だからといって、目の前で目の前の人の悪口を綴るというのは人間としてどうかしているとしか思えないが。
 しかしなんで一緒にいるのかわからない。人間が違いすぎる。彼女とはもうこれで4回目のデートだけど、最初の3回はまだ空気が良かった。お互い気を張っていたからかもしれない。俺の方も頑張って話題を提供したり、褒めたり、気持ちの良いデートになるように心を砕いたけど、今日はお互いがいい空気にしようと働こうとしない。そのせいか元々の相性というものがよく表れている。
 これは何を意味しているかというと、多少相性が悪くても、お互いが、あるいは片方が頑張れば一時的にはどうにかなるということだ。既にセックスも果たしている。たとえ相性が悪い2人でも頑張ればセックスまでたどりつけるということを意味している。

 あなた達は自分の彼女をグチグチ怒っている男を見ると、それが正論だとしても心が狭い男として見る。そんな男は彼女を持つ資格はないと言うだろう。
 では、ここで考えてみてほしい。今、上に挙げたものをたった一つでも欠いてしまったら、人として恥ずかしくないだろうか? あなた方はこれらのたった一つの過失を犯したことがあるだろうか? 別にいつもニコニコして話題を振れと言ってる訳ではない。もっとずっと当たり前のことを言っている。例え長年付き合っていたとしても、靴を脱ぎちらかして家の主人より先に上がっていってソファーに座り込むだろうか? ちなみにこの子は家の前まで送ってもらっても、お礼の一つも言えない。「じゃあね」と言う。じゃあねじゃねーだろ! ありがとうございますだろうがッ! 犬畜生がッ! ちなみに俺が女だったら相手の車が見えなくなるまでずっと頭を下げ続ける。まぁそこまでしろとは言わないけど。

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 いつも無口だけど、今日の俺は自分でもやばいと思うぐらい無口だった。何も言葉が出てこない。デート開始からずっとイライラしていて、もう顔も見たくないし話したくもないと思っていたからかもしれない。でも、特に慌てる様子もなく、悟ってしまったところもあった。ここが俺と彼女の行き着く先だと思った。
 相性が悪いので、俺と彼女の落とし所が見つからないのである。見つからないのではなく、存在しないのである。彼女にムカついてイライラするから話さないのではなくて、慣れて自然体になった時、お互いの中に共通点が何もないから何も話せないのである。
 残念なことに確信してしまった。俺はもうずっと一人だ。孤独が板についてきた。前から思っていたが、俺は永遠に一人だ。女を取り替えても同じことが起こる。女はどれもこれも全員同じ馬の骨だ。そしてこの孤独の闇は日に日に広がっている。ブラックホールより早く広がっている。
 一緒にいても何も言葉が出てこない。そして俺自身も慌てるつもりもない。本当にただじっとしている。それが彼女にとっては困ってしまうものだったらしい。「何か話して」と10回ぐらい言われた。いやもっと、30回は言われたかもしれない。不良少女と音の出ないガラクタがデートしている。

 本当に言葉が汚い。言葉が汚い人間ほど愛情に飢えていることは知っている。俺も言葉が汚すぎて友達を失った過去があるからよくわかる。本当はその友達が好き過ぎるからそういう態度をとったのだ。うちの母親もヒステリックだ。本当に怒り出すと、相手の精神を破壊するまで止まらない。「封筒は手で破かないでハサミを使いなさい! その封筒の破り方があんたの失敗だらけの人生を表してるよ!」「私があんたほど若かったら、バイトしたり旅行したりするもんだけどねぇ……! あんたって本当に何もしないよね! いつもベッドの上に座ってるだけ!」
 だけど、平気で人を傷つける言葉を吐いたり、常に怒ったり気性が激しい人ほど愛を求めていることはわかっている。よく知っているくせに、俺は彼女を包み込めないでいる。包み込めないどころか目の前で悪口を書いている。どうしても琴線に触れてしまうのである。

 どうして俺ばかりがこんな目に? 神様、普通の彼女をください! なんでこんな不良少女なんですか!? ピアスがいっぱい開いてるんです! どうして愛や恋について一生懸命考えてきた俺に普通の彼女をくださらないんですか!? 口が悪いし般若みたいな顔をしているし重い病気を持っているし、いいところは19歳ってところだけじゃないですかっ……! これだったらまだ27歳の銀行員の方がいいですよ! 俺がこれまで悩みに悩み抜いた分量に等しいだけの彼女をちゃんと提供してください! 差別してもらっては困ります! 他の男も女もそんなに苦労していないじゃないですか! 俺の方がずっと苦労しているじゃないですか! それなのにみんな、普通に付き合えて、普通に結婚して、恋の階段を登っていっているじゃないですか! 周りは子供のことや住宅ローンの問題にとっくに移ってます……! 僕だけですよ!? 33歳にもなってこんな大学生みたいな問題で頭を抱えているのは……! 次にいかせてください! 可愛い彼女ができないと次にいけないんです! どうして俺だけが恋というものを十膳に味わえないんですか!? いつもこんなつまらない恋ばかりじゃないですかッ! いや、恋と呼べるようなものなんて1度もありませんでした! くだらないですよ全部! もう殺してください!

 確かに俺よりもっと劣悪な環境にいて、いままで付き合ったこともなくて、童貞で、出会い系で誰1人マッチングできない人もいる。30後半の人間なんて、そんなのが山ほどいるだろう。
 基本的に俺は、顔はよくて性格もよくて霊的修行を通じて神との一体化を目指している、日本でも珍しい敬虔な人間なのに、どうしてこんなことになっているんだ?
 よく分からない。顔も性格も大したことがなくて、金がなくて、無職なのに、女を連れている人間はいる。モテる人間はどこで何をしていてもモテる。有吉だってどんなに惨めな状況に追い込まれても、いつでもモテたと言っている。世にでる傑物は、どこで何をしていても絶えず女が付いて回る。俺はその種の人間ではないらしい。
 今、俺が苦しんでいるのは現在が辛いからではない。俺はこの女と別れたとしても別に悲しくもない。むしろ良いことだと思っている。それよりも一番苦しいのは、未来の可能性が閉ざされたような気分になっているからだ。出会い系をやり続けても、こんな出会いしかないような気がしている。こんなことを繰り返すだけだと思っている。またマッチングして付き合っても、一生懸命走らされてお魚食べたいと言われるだけのような気がする。
 出会い系の女は全員クソだと思っていたけど、やっぱり本当にクソだった。本当にまともな人間がいない(俺も含めてな……!)、そして、出会い系でまともな人間がいないということは、出会い系しか頼るものがない俺としては万事休すなのである。俺はこの未来に絶望している。
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 たとえどれだけ可愛くても、たとえ橋本環奈ちゃんだとしても、駅まで走らされてお魚食べたいと言われたり、靴を脱ぎ散らされ、言葉遣いが悪くてイライラさせられると、とてもセックスしたい気分にならない。
 薄々感づいていたけど、結婚しないんじゃなくて結婚できない人間なんだ俺は。人間は似た者同士と付き合う。むしろ人間は似た者同士でなければ付き合えない。まともに長話ができる友達なんて1人だけだ。そいつが死んでしまったら、俺はまともに人と話すことが全くなくなる。そいつは俺と本当によく似た人間だ。やはり人間は自分とよく似た人間としか上手くいかない。しかし、こいつは男だから結婚するわけにはいかない。
 俺とよく似た女としか結婚できないとしたら、そんな女どこにいるんだろう? たぶん世界のどこを探してもいないだろう。俺ほどの人間は珍しいだろうからね。もう終わりか。恋愛は諦めろということか。結婚も、全て。

 俺が精神世界の道を歩いているなら彼女は物質世界の道を歩いている。お互いが、精神の中に物質を、物質の中に精神を見出さないのであれば、これらの道が交差しないのは当たり前かもしれない。
 俺はいつも付き合っている時に、何で付き合ってるのだろう? と思ってしまう。相手の顔が可愛いわけでも、性格がいいわけでもセックスしたいわけでもなくて、特に話したいこともなければ何を期待しているわけでもないのに、ついつい会おうとしてしまう。

 これは内緒なのだが、彼女の座るところを用意するために3万円のソファーを買ってしまった。そして今日も、このソファーを見つめながら、彼女がソファーに座ることをワクワクしながら、彼女をこの家に呼ぶことを楽しみにしていた。そのくせ、こうして会えば、はやく彼女が帰って欲しいと願っている。
 こんな風に期待と現実が異なるのは、今まで彼女がいなかった分の埋め合わせをしたくてはしゃいでいる結果だと思う。自分の所有物の女が目の前にいる安心感が欲しいのだと思う。車やマイホームと一緒で、なんとなく所有していたいだけなのだ。実際付き合ってみれば大した幸せはない。むしろ邪魔に思う。これは付き合う度にいつも思うことだ。

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 ソファーを運んだせいで、腕が思うように動かないと言っているのに、マッサージやってと言われてマッサージをやったら、お礼の一つも言わなかった。一体どういう育ちをしてきたんだろう? 親の顔が見てみたい。友達がいないのもわかる。高校でも専門学校でも1人も友達ができないというのは異常だ。俺には理由はわかるけど、彼女が自分で理解する日は訪れるのだろうか? みんなが醸し出す無言の圧力に気づかないのだ。みんな教えてくれている。無言でいつも教えてくれているけど、彼女は気づかない。今も俺は無言で語っているが気づく様子はない。
 鈍い。鈍すぎる。鈍すぎるから鋭すぎる俺とこうして一緒に過ごすことができるんだろう。

 ただでさえ重篤な持病を抱えていたり、色んなハンデを背負っているのに、それでも周りから嫌われてしまうのは本当に可哀想だ。この世界は、いつもいろんなことに気づいている人間だけが運が良くなって救われる仕組みになっている。
 本当に彼女は鈍感だ。色んなことに気づかない。身体の声も聴こえないから、いつも身体の節々が痛いんだろう。周りや、自分の声も聞こえないから、いつも不貞腐れた般若みたいな悪い顔をしているんだろう。常にイライラしていて、うざいとかだるいとか汚い言葉を吐いてしまう。注意しても、「口癖になってるんだよねぇ~」と言って直さない。自分で自分の人生を悪くしてしまう。

 俺と彼女が出会ったのは神が与えた試練なのか? 俺はこの子を通して成長し、彼女も俺を通して成長するのか? 俺は彼女の成長を促さなければならないのか?
「神の試練」と思われながら交際されるなんて死ぬほど嫌なことだろう。俺だって嫌だ。神の試練というより忍耐の試練というべきか。こんなことはいつだって職場でも家庭でもどこでも行われている。
 みんなよく頑張っている。俺はいつも1人だから気楽だ。「なんでこんなこと平気で言えるんだろう!」という人間と同じ空間にいて、一日中そんな人間と戦って戦って戦っている人ばかりだ。その相手が自分の愛した人だったりすることもあるだろう。
 恋人までもそうある必要はない。このまま我慢し続けるべきか? それともこの関係を続けることで、俺は、そして彼女は、新しい境地に至れるというのか?
「ピアスを20個開けたい」「髪をピンク色にしたい」「暇さえあれば推しのインスタ見てる」「タトゥー入れたい」そんなことを言われる度に、違う人種だなとは思ってしまう。うんこする度に「うんこなう」というLINEを送られてきて、目が廻った。
 そして今度はタトゥーではなく、なんとかアートとやらをやりたいらしくて、このカエルさんを体に描いてほしいのだという。

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 そしてこの柄も胸に描いて欲しいと言っている。f:id:simaruko:20190606144620j:imagef:id:simaruko:20190606144630j:image
 おそらく俺が3つも4つも一生懸命一日かけて描いたとしても、お礼の一つも言わないんだろう。
 そして俺は「こういう時はお礼を言わなきゃダメだよ!」と小学生を諭すように言って彼女を不機嫌にさせなきゃいけないんだろうか? 直らないのに? 不機嫌にさせるだけなのに? 俺も不機嫌になるのに? ただお互いが嫌な気持ちになるだけだ。マザーテレサはこういうときどうするんだろう? 山岡鉄舟やガンジーはどうするんだろう? 少なくとも彼女の学校のクラスメイト達はみんな拒絶したようだけど。

 何より一番腹が立つのは俺自身だ。愛されるより愛することができる人間になろうと戦ってきた。これだけしたのだから、お前もこうしろとか、相手に見返りを求めるような、完璧を求めるような、そんな人間にならないようにしようと勉強してきたはずなのに、全てが壊れていく。彼女に変わってもらいたくて期待している。期待を裏切られて苦悩する。期待を持つことがよくないのか? いい人間にさせようとしているのではなくて、自分好みの彼女を創り上げようとしているのか? 彼女のありのままを愛せない自分に腹が立つ。

「何か話してよー!」に一番腹を立ててしまう。自分からは話題を振ろうとしないくせに「何か話してよー!」と言う。確かによく無言になる人はいる。しかし目の前の人が無言になって静かにしている時、「何か話してよー!」という人は、世の中には子供とこの娘しかいない。そういう時は、(ああ、今は話したくない気分なのかな?)と思って、自分も黙って落ち着いたり、別のことをしたり、あるいは自分から何か話題を振ったり、そういうことをするはずだ。
 彼女は「なんか話してよー!」と言うだけだった。しかし1つ良いことを言うのであれば、そのまま俺が話さないでいても、怒ったり、距離を感じて身を引いたりすることもなかった。ただ雑音のように「何か話してよー!」と繰り返すだけだった。そのあたりも子どもだ。あまりにも子供すぎて、鈍感すぎて救われている。普通だったら、(こんなに黙って静かになってしまう人間は無理だから、今日はこのままやり過ごして次は会わないようにしよう。もっと話してくれる男にしよう)と心に決めるだろう。
  ずーっと思っていたけど、彼女は別に俺を求めていない。俺の特異性を求めていない。俺と他の男の区別もおそらくあまりついてはいない。友達がいないから自分と一緒にいてくれる人間を求めている。俺も、33歳の俺を相手してくれる女の子は19歳どころか20代後半でもいないため、もう2年以上まともな恋愛をしてなくて寂しいから、はっきり絶縁しようとは思わないのだ。

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 これまで数回にわたって、この19歳の彼女の話をしてきたけど、これらの話をまとめて友達に電話で話したところ、返ってきた言葉が、
「本当に斜め上から見てるなぁ。お前は」
だった。笑ってしまった。確かにその通りかもしれない。本当に斜め上から見ている。そして「斜め」上という言葉が言い当て妙だな思った。確かに「斜め」上なのだ。なぜ傾斜がついているのかよく分からないが、確かに傾斜がついたような斜めに穿った角度で相手を馬鹿にしている。
「もしこの娘が自分の子供だったらちゃんと世話をしようと思うのか? しかしもし自分の子供を愛するように世の中の人間を愛そうと考えるならば、その考えこそがキリストやマザー・テレサの域のレベルだとしたら、それが愛だとしたら、そして俺自身が愛の探求者だと自称するならば、ここは諦めずに戦うべきところなのかな? でも、やっぱり、その考えは失礼なのか? 結局そんなところをぐるぐる回っている」
「そんなことをぐるぐる考えながら、神の試練とか思われながら付き合われるのは嫌だなぁ……俺は。お前がその娘と付き合ったってことは、どこかで納得したから付き合ったんだと思うよ。ブスだったら、お前は絶対付き合ってない」
 
 彼女にとって恋愛するということは娯楽でしかない。当たり前だ。恋愛とはそういうものだ。それでいいことに違いはないが、人間と人間の付き合いだ。マナーがある。
 世の中は本当に馬鹿な人間で溢れていて、学校でも職場でも近所でも本当に馬鹿しかいない。彼女はそんな馬鹿と比べても更にもっとずっと馬鹿な人間だ。どうして俺はそんな女と付き合うんだろう? 本当に参ったもんだ。目の前の人間が全員バカにしか見えないから、まともに付き合うことができない。愛や恋について一生懸命考えて賢くなって、ひとつひとつの扉を開けて進んでいく度に、どんどん馬鹿な女と差が開いて付き合えなくなってしまう。
 正直に忌憚なく言えば、俺は自分では第一級の思想家だと思っている。ヴォルテールやバルザックやドストエフスキーにも比肩すると思っている。ひろゆきやホリエモンより俺の方が偉いと思っている。もし俺が本当に第一級の思想家だったら、この女と釣り合うはずはない。バルザックがこの女と付き合うはずはない。格が違い過ぎるのだ。しかし第一級の思想家ならば、こういう女の子の中から本質を見出して、幸せにすることができてしまうのではないかと思うのだ。そこが問題なのだ。だから無視して通り過ぎることができないでいる。
 第一級の思想家とは、全てのブスや格式の低い女から本質を見出すことができて、相手の幸せを見つけ出して、自分も幸せになることができる人間を言うような気がする。人を選ばないのだ。誰とでも楽しく過ごせてしまう。第一級の思想家の基準も定義もめちゃくちゃで俺もよくわかっていないけど、そんな気持ちで、この問題と格闘せずにはいられないでいる。

 みなさんは、「ていうか、お前一体何なんだ? どんだけ話さねーんだよ! 目の前に彼女がいるのに話さないって一体何なんだよ!」と思うかもしれない。それには一応理由がある。誰も納得しないだろうけど、譲れない理由がある。
 俺は話すとき、言葉が降りてこない以上は話さない。ずっと沈黙していて、心を静かにして、ピカーンと言葉が降ってきた時にだけ、その言葉を話す。その言葉が降ってこないのに話そうとすると、自分の心がぐちゃぐちゃにかき乱れていく様子がわかり、その状態が望ましいものとは思えないのだ。だから、無理やり間を繋げようとして、言葉を探す旅に出るということはほとんどしない。
 天から降ってきた言葉を神の言葉と考えていて、その言葉だけが重要だと思っている。言葉がたくさん降りて来た場合は、遠慮なく凄まじい勢いで話す。このブログの記事も、天から降ってきた言葉だけを話しているつもりだ。(その割にアクセス数が少ないのはなんでだろう?)

「すべての存在は苦痛に満ちている。彼らは苦痛のなかにいるから、快楽のなかに解放を探している。彼らが想像しうる幸福のすべてとは、繰り返される快楽の保証なのだ。苦痛からの一時的な解放を快楽と呼ぶ。幸福と呼ばれる終わりなき快楽を期待して私達は空中に城を築く」

 自分の心の中に暗闇が入り込んできたら、それを1回1回浄化する。消し飛ばす。そうやって心の玉を磨いていって、自分の心の中に一切の邪悪なものを寄せ付けない。そうやって心の輝きを守り続ける人間になることが人生の最も重要な使命ではないだろうか? これを成し得ることは金持ちになることや地位や名誉を得たり、大きな社会貢献をすることよりも重要であって、これを達成すること自体が大きな社会貢献を成すことの同義だと俺は考える。

 今、ひたすら瞑想している。どうすればいいのか。俺は彼女といる時どんな心持ちでいればいいのか。というものを探している。そして、たどり着いたのが、やはり瞑想である。自分の心を深掘していって、一番奥にある光にアクセスする。そしてその光と一体化し続ける。これしかない。それは別の角度から見たら、様々に浮かび上がる邪悪な思念を1つ残らず破壊していく様でもある。
 瞑想して、この状態で、とにかくずっと毎日をこの状態で過ごすことができたら何も問題はない。やはりいつだって俺と神との問題なのだ。この燦然と光る光と一緒にいれば、俺は幸せでいられるし、周りも幸せでいられる。

 どっちが悪いのか。俺が悪いのか。相手が悪いのか。俺はこれだけしたのに相手はこれすらしてくれない。俺はこれぐらいできるのに相手はこれすらできない。とか、そんな価値観や全てから解き放たれて、俺は静かに瞑想するだけた。これでいい。これでいくしかない。常にずっと光り続けるために、全てを捨てて、全てをなくして、ただ心の本源にアクセスする。親友と長電話していると、たまに意見が食い違って喧嘩してしまうことがあるが、その時もやはり必要なのはこの心的態度だろう。職場でも家庭でも、これしかないのだ。この彼女に関わらず、世の中の全ての出来事は、心の本源に辿り着くための試練でしかない。人間の生きる意味は、この心的態度を手に入れて自分と周りを幸せにすることにある。

「あらゆる問題を瞑想によって解決しなさい。無益な思索によらず、神との霊交によって解決するよう努めなさい。心の中から教条主義的神学の垢を取り除いて、その代わりに、直覚という新鮮な癒しの水を組み入れなさい。自分の意識を内なる案内人に同調させれば、人生のあらゆる問題に対する答えを聞くことができる。人間は、自分の身の周りに悩みや問題を作り出す天才で、次々と作っては飽くことを知らないが、神もまた飽くことを知らぬ無限の救済者なのだ」